卵黄による食物蛋白誘発胃腸炎(FPIES)の新たな発症メカニズム
~高深度プロテオーム解析で免疫システムの過剰反応が明らかに~

2025/3/17

研究開発

かずさDNA研究所と千葉大学、東海大学は共同で、卵黄による食物蛋白誘発胃腸炎という食物アレルギーの新しい発症メカニズムを明らかにしました。

食物蛋白誘発胃腸炎(FPIES)は、摂食数時間後に嘔吐、下痢、低血圧などの重篤な症状を引き起こす食物アレルギーです。国内で年間約2,800人が発症していると推定されていますが、その発症メカニズムは未だ十分に解明されていません。本研究では、最新鋭の質量分析計と高い解析技術を用いた高深度プロテオーム解析によって、FPIES症状の発症前後で血液や唾液中のタンパク質にどのような変化が起きているのかを調べました。

解析を行った結果、アレルギー症状が認められた血清サンプルからは、自己免疫疾患の発症などに関連するタンパク質複合体(プロテアソーム)などが認められました。また同様に、アレルギー症状が認められた唾液サンプルからは、白血球の一種である好中球と関連したタンパク質の高発現が認められました。

今後は、これらのタンパク質の変化を診断の指標(バイオマーカー)として活用し、FPIESの診断や予防に役立てる方法を検討することで、新しい診断法や治療法の開発につながることが期待されます。

詳細は千葉大学のプレスリリース資料をご覧ください。

論文タイトル:In-Depth Proteomic Profiles Prior to Symptom Development in Food Protein-Induced Enterocolitis
著者:Yuzaburo Inoue, Hironori Sato, Masaki Ishikawa, Yusuke Kawashima, Hiroki Kawamura, Mayumi Enseki, Yuka Osaki, Sachiko Kaburagi, Masayuki Akashi, Arisa Ito, Eri Hayata, Takeshi Yamamoto, Taiji Nakano, Soichiro Toda, Yuki Okada, Hiroaki Ito, Daisuke Shigeta, Yuki Tsumura, Mariko Shimizu, Minako Tomiita, Yoshiyuki Yamada
掲載誌:Clinical & Experimental Allergy
DOI:10.1111/cea.70007

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