アジサイが球状に咲く原因遺伝子を解明 ―育種の効率向上や新品種開発に期待―
2024/12/13
研究開発かずさDNA研究所、日本大学、滋賀県立大学、栃木県農業総合研究センター、宇都宮大学、福岡県農林業総合試験場は共同で、アジサイの手まり咲き性の原因遺伝子を特定しました。
アジサイは世界中で広く愛されている園芸植物ですが、アジサイの主要な遺伝資源であるガクアジサイは日本の固有種です。野生のガクアジサイは、萼(がく)が大きく発達した飾り花(装飾花)を花序の周縁部に着生する、「がく咲き」と呼ばれる性質を持っています。一方で、野生種の中から装飾花が花序全体に着生する「手まり咲き」が発見され、品種開発が進んだことにより、アジサイは園芸植物として大きく発展しました。
本研究では、約150 個体のアジサイのゲノムデータを利用して、アジサイ手まり咲き性の原因遺伝子の候補を見出しました。その後、手まり咲き性を示す品種と、がく咲き性を示す品種のゲノムをそれぞれ解読した結果、手まり咲き性の品種では、この遺伝子の機能欠損型の配列のみを保有していたことから、本遺伝子を手まり咲き性の原因遺伝子として特定し、「手まり咲き」にちなんで、「Temary」と名づけました。
このTemary遺伝子は、正常に機能した場合にはがく咲き性を示し、機能しない場合には手まり咲き性を示します。ゲノム解読の結果から、3種類の機能欠損を引き起こす変異型(対立遺伝子)が特定され、ほとんどの手まり咲きアジサイは、これら3種類の変異で説明されることを明らかにしました。
詳細は日本大学のプレスリリースをご覧ください。
論文タイトル:The SEP homologous gene TEMARY regulates inflorescence phenotypes in H. macrophylla
著者:Nashima K, Uemachi T, Shirasawa K, Shimizu A, Takeuchi T, Obata T, Isobe S, Azuma M, Akutsu M, Nakazawa Y, Kodama M, Namai K, Kurokura T, Suyama T.
掲載誌:Horticulture Research
DOI:10.1093/hr/uhae332