イエネコの高精度なゲノム解読に関する論文が発表されました
2024/11/25
研究開発かずさDNA研究所、アニコム先進医療研究所株式会社、国立遺伝学研究所、香港中文大学、宮崎大学、麻布大学は共同で、ネコの高精度なゲノム解読を行い、これまで見つかっていなかった1800個以上の新規の遺伝子を発見しました。
ヒトのすべての遺伝情報(ゲノム)は、個人に合わせた治療法の開発に役立てられています。しかし、ネコを含む多くの動物では、いまだこの情報は不完全なままになっており、病気の治療法をはじめとした研究を進めるうえで課題となっていました。
本研究では、イエネコのなかでも世界的に人気が高く、近縁な品種が多い特徴をもつアメリカンショートヘアを対象に、従来よりも高精度なゲノム解読を行うとともに、遺伝子の情報を詳細に解析することを目的としました。
今回新しくゲノム情報を取得した結果、配列の品質の良さを示す数値が、既存のネコ科動物の中で最も良い値となっており、従来よりも高精度なゲノム情報を取得できたことが確認されました。
また、遺伝子の情報を詳細に解析した結果、1896個の遺伝子を新たに検出しました。遺伝子は、病気や体の特徴を決定する重要な因子であることから、今回の発見はネコの個別化医療や再生医療をはじめとした獣医療の発展に貢献することが期待されます。
研究の一部は、2020年に BioRχivで公開されています。
詳細はアニコム先進医療研究所株式会社のプレスリリース をご覧ください。
論文タイトル:Chromosome-scale assembly with improved annotation provides insights into breed-wide genomic structure and diversity in domestic cats
著者:Yuki Matsumoto, Claire Yik-Lok Chung, Sachiko Isobe, Mika Sakamoto, Xiao Lin, Ting-Fung Chan, Hideki Hirakawa, Genki Ishihara, Hon-Ming Lam, Shinobu Nakayama, Shigemi Sasamoto, Yasuhiro Tanizawa, Akiko Watanabe, Kei Watanabe, Masaru Yagura, Yoshihito Niimura, Yasukazu Nakamura
掲載誌:Journal of Advanced Research
DOI:10.1016/j.jare.2024.10.023