共同ラボ開所についての記者発表会を行いました
2023/3/9
研究開発かずさDNA研究所・九州大学・島津製作所はこの度、島津製作所本社(京都)の研究開発棟ヘルスケアR&DセンターにAuto Biomolecular analysis Systematization Laboratory(通称:ABiS Lab.、エビスラボ)を開設し、3月9日に記者会見を行いました(写真1)。
ABiS Lab.には、島津製作所製の高速液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS)と超臨界流体クロマトグラフ質量分析計(SFC-MS)が設置されており(写真2)、脂質解析統合プラットフォームの開発に向けたプロジェクト(Intelligent Biomolecular Screening Project for Advanced Healthcare:先端医療のための高度生体分子スクリーニングプロジェクト)の共同研究拠点となります。
脂質は、中性脂肪やコレステロールなど健康に関するものや、セラミドなど美容に関するものなど注目度の高い物質です。しかし、実際に試料中の脂質を同定するのは容易ではありません。また、抽出や分析に高度な技術が求められ、測定データが研究施設間でばらつくため、データの相互利用が進まなかったことも問題です。
誰が行っても簡単に再現性の高い分析データが取得できる機器・方法を確立するには、脂質分析・解析の統一的な基準となる
を開発することが必要です。
本プロジェクトでは、かずさDNA研究所と九州大学は、LC-MSなどの分析装置ユーザーとしての知見を活かして新たな分析手法を提案し、装置や解析システムの改良点を発案します。そして島津製作所は、自動前処理装置の開発と質量分析計の改良を担当し、プラットフォームの開発をサポートします。
こうして、脂質に関する高精度で網羅的な測定技術を確立し、信頼性の高いデータベースを構築することで、医薬品や機能性食品の開発促進や次世代ヘルスケアの創出への寄与を目指します。また、本研究開発で得た知見を活用し、人の健康に関わる「脂質」以外の生体試料の分析へ適用していくことが期待されます。
写真1:登壇者
写真左から、九州大学生体防御医学研究所教授 馬場健史、かずさDNA研究所生体分子解析グループ長 池田和貴、島津製作所分析計測事業部長 馬瀬嘉昭、同事業部Solutions COE副センター長 早川禎宏
写真2:開設した「ABiS Lab.」の様子
左:超臨界流体クロマトグラフ質量分析計SFC-LCMS-8060NX
右:高速液体クロマトグラフ質量分析計LCMS-8060NX