サブクローバの高精度ゲノム配列を決定
  ~ 乾燥に強い植物の育種に向けて ~

2023/2/17

研究開発

かずさDNA研究所と国立遺伝学研究所、および、ニュージーランドの国立研究機関アグリサーチ(AgResearch)、ティーブレイク・バイオインフォマティクス株式会社(Tea Break Bioinformatics Ltd.)は共同で、乾燥に強い牧草・サブクローバの高精度なゲノム配列を決定しました。

生物の設計図であるゲノムの塩基配列情報は、より優れた形質をもつ新しい品種の育成に活かされます。果実の色や形、耐病性など、少数の遺伝子で決まる性質の改良には、これまでに得られていた精度のゲノム情報が利用できますが、乾燥耐性や多収量など、多くの遺伝子の働きが複雑に絡み合って決まる性質を育種のターゲットにする場合には、ゲノム全体の遺伝子をより高い精度で知っておく必要があります。

かずさDNA研究所では、ゲノムサイズが大きく複雑な構造をもつために解析が難しい栽培植物のゲノム解読に長年取り組んできました。このたび、新しいゲノム解読技術を用いてサブクローバのゲノムの再解読を行いました。サブクローバは地中海原産のマメ科植物で、乾燥に極めて強いため、オーストラリアやニュージーランドの乾燥地帯など、放牧が盛んで乾燥した地域で牧草として使われています。

今回の解析の結果、従来法では見つけることができなかった遺伝子や染色体の構造変化を新たに多数発見することができました。これらの情報をもとに、乾燥に強く、収量の高いサブクローバの品種開発が進むことが期待されます。

研究成果は国際学術雑誌 Frontiers in Plant Science において、2月15日(水)にオンライン公開されました。

詳しくは、プレスリリース資料をご覧ください。

論文タイトル:An improved reference genome for Trifolium subterraneum L. provides insight into molecular diversity and intra-soecific phylogeny.
著者:Kenta Shirasawa, Roger Moraga, Andrea Ghelfi, Hideki Hirakawa, Hideki Nagasaki, Kioumars Ghamkhar, Brent A. Barrett, Andrew G. Griffiths and Sachiko N. Isobe
掲載誌:Frontiers in Plant Science
DOI: 10.3389/fpls.2023.1103857


写真:サブクローバの花(左)と土に潜った花を掘り出したもの(右) 

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