免疫細胞の分化過程を分子レベルで解明するための データ基盤を構築
〜プロテオゲノミクスによる大規模データ基盤を整備〜

2023/2/3

研究開発

かずさDNA研究所は、mRNAとタンパク質の大規模解析を同時に行うことによって(プロテオゲノミクス)、免疫細胞の分化過程を分子レベルで解明するためのデータ基盤を構築しました。

免疫には、「自然免疫」と「獲得免疫」の2種類があります。外界からの異物に対して、まずはマクロファージなどの自然免疫系が働き、その後、リンパ球のT細胞やB細胞が関与する獲得免疫系が働きます。このうち、CD4+T細胞と呼ばれるT細胞には複数の種類(サブセット)が存在し、抗ウイルス反応やアレルギー応答、自己免疫疾患などに重要な働きをしています。このようなサブセットの分化には多くの因子が関与しており、新たな因子を見つけるための研究が国内外で精力的に進められています。

かずさDNA研究所では、これまで別々に行われてきたmRNAとタンパク質を同時に分析することによって(プロテオゲノミクス)、 CD4+T細胞が分化する過程で現れる10,000種以上のmRNA、8,000種以上のタンパク質を検出しました。そして、これをもとに免疫細胞が分化する過程で働く多種多様なmRNAやタンパク質を評価するためのデータ基盤(免疫ゲノミクス基盤)を構築しました。今後、この免疫ゲノミクス基盤が、創薬や治療法開発に必要不可欠な重要な情報を提供することが期待されます。

研究成果は国際学術雑誌DNA Researchにおいて、1月30日にオンライン公開されました。

詳しくはプレスリリースをご覧ください。

論文タイトル:Characterization of proteogenomic signatures of differentiation of CD4+ T cell subsets
著者:Toshio Kanno, Ryo Konno, Keisuke Miyako, Takahiro Nakajima, Satoru Yokoyama, Shigemi Sasamoto, Hikari K. Asou, Junichiro Ohzeki, Yusuke Kawashima, Yoshinori Hasegawa, Osamu Ohara and Yusuke Endo
掲載誌:DNA Research
DOI: https://doi.org/10.1093/dnares/dsac054

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