「代謝で抗ウイルス応答をコントロール」 ~ 脂質代謝スイッチによる抗ウイルス性転写制御システムの解明 ~
2022/9/14
研究開発かずさDNA研究所は、千葉大学大学院と共同で、脂質代謝をコントロールすることで誘導される抗ウイルス応答の仕組みを明らかにしました。
生体はウイルスに感染すると、様々な免疫細胞を活性化してウイルスを排除しようとします。当研究所では、脂質代謝をコントロールすることで免疫の司令塔であるT細胞からI型インターフェロンが産生され、ウイルスへの抵抗性を高めることを解明しています。
本研究では、そのメカニズムを明らかにするために遺伝子の網羅的な解析を行い、「脂質代謝スイッチ」による抗ウイルス応答の誘導には、IRFファミリー転写因子による協調的な転写制御が重要であることを発見しました。
脂質代謝のコントロールで誘導される抗ウイルス応答は、従来の抗ウイルス薬とは異なり、ウイルスの種類にかかわらず作用します。今後、「脂質代謝スイッチ」の全容を明らかにすることで、新しい感染症の蔓延時にも即座に対応することができる抗ウイルス薬の開発に繋げることをめざしています。
詳しくはプレスリリース資料をご覧ください。
論文タイトル:SCD2-mediated cooperative activation of IRF3-IRF9 regulatory circuit controls type I interferon transcriptome in CD4+ T cells
著者:Toshio Kanno, Keisuke Miyako, Takahiro Nakajima, Satoru Yokoyama, Shigemi Sasamoto, Hikari K Asou, Osamu Ohara, Toshinori Nakayama, Yusuke Endo
掲載誌:Frontiers in Immunology
DOI:10.3389/fimmu.2022.904875