測定時間 5分で 5,000種類以上のタンパク質を同定するハイスループットプロテオーム解析法を開発

2022/8/4

研究開発

従来の液体クロマトグラフィーと質量分析計を用いたプロテオーム解析法では、高感度の結果を出すために、低流速で長時間(数十分~数時間)の測定を行う必要がありました。そのため、多くの検体の分析が求められる臨床検査やバイオマーカー探索では、測定時間の短縮が求められていました。

本研究では、高流速の液体クロマトグラフィーに最適なデータ非依存的分析(DIA)法の条件を検討することで、ヒト培養細胞から測定時間 5分で 5,000種類以上のタンパク質を同定することに成功しました。

また、この解析法の有効性を調べたところ、カラムの平衡化や洗浄などを含めて、1日あたり約80サンプルの連続測定が可能であることが実証されました。

本手法がプロテオーム解析の限界と考えられていた処理能力を劇的に改善したことにより、研究だけでなく創薬・ゲノム医療の実践に向けた画期的な技術基盤になることが期待されます。

論文タイトル:Optimization of Ultrafast Proteomics Using an LC-Quadrupole-Orbitrap Mass Spectrometer with Data-Independent Acquisition
著者:Masaki Ishikawa, Ryo Konno, Daisuke Nakajima, Mari Gotoh, Keiko Fukasawa, Hironori Sato, Ren Nakamura, Osamu Ohara, and Yusuke Kawashima
(お茶の水女子大学との共同研究)
掲載誌:Journal of Proteome Research
DOI:10.1021/acs.jproteome.2c00121

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