新型コロナウイルス感染症における重症化リスク予測

2022/6/29

研究開発

新型コロナウイルス感染症では、一部の感染者が重症化し入院治療が必要になります。もし、重症化リスクを持つ患者を予測することができれば、早期の治療で重篤化を防げるようになるかもしれません。

海外の人を対象とした調査では、免疫反応に関わるI型インターフェロン(IFN)に対する中和抗体を保有していると重症化リスクが高くなることが示されていますが、これまで国内での調査例はありませんでした。新型コロナウイルスに限らずウイルスに感染すると、生体を守るために体内でIFNというタンパク質の一種(サイトカイン)が産生されて、ウイルスを排除したり、増殖を抑えるはたらきをします。しかし、原因はよくわかっていませんが、免疫機能の変調により自分自身が産生したタンパク質を認識する抗体がつくられることがあり、中でもI型IFNのはたらきを阻害(中和)する抗体(中和抗体)を持つ人が新型コロナウイルス感染症の重症者に多いことがわかってきました。

そこで今回、広島大学や東京医科歯科大学などとの共同研究により、国内でI型IFNに対する中和抗体の保有率を調べました。すると、人工呼吸管理などが必要な最重症者では高頻度(約10.6%)で中和抗体を保有していることが判明しました。軽症者では中和抗体の保有率は1%以下と低く、中和抗体の保有が重症化のリスク因子になることが明らかになりました。

かずさDNA研究所は、抗I型IFN自己抗体量の測定法の開発に貢献しました。今後、この検査の実用化を進めて参ります。

詳しくは、広島大学のプレスリリースをご覧ください。

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