ぜんそくとアトピー性皮膚炎の新たな治療標的を同定 ~難治性アレルギー疾患治療への応用に期待~
2021/11/24
研究開発ぜんそくやアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患は、世界的に年々患者数が増加していることが知られており、日本においても人口の約2人に1人がアレルギー疾患に罹患しているといわれています。アレルギー疾患の治療はステロイドや抗アレルギー剤などの対症療法が中心で、症状による負担のほか長期の通院が必要となることも多いため精神的・経済的にQOLを低下させる原因となります。
かずさDNA研究所は今回、脂質代謝によるヘルパーT細胞の分化制御機構に着目し、脂肪酸代謝を制御するACC1という酵素が病原性T細胞の産生するIL-5やIL-3などのサイトカインの産生を誘導していることを発表しました(千葉大学との共同研究)。
ACC1を欠損したマウスではぜんそくやアトピー性皮膚炎の症状が改善されること、またACC1の阻害剤を皮膚に塗布することでアトピー性皮膚炎症状が抑制されることがわかりました。ぜんそくでは主に好酸球を誘導するIL-5が、皮膚では好塩基球を誘導するIL-3の産生がACC1の欠損によって減少しており、これらの細胞の誘導が阻害されたため症状が改善されたと考えられます。
以上のことから、病原性T細胞のACC1を人為的にコントロールすることでアレルギー性炎症を抑制し、根治治療につながると期待されます。今回の研究成果により、アレルギー疾患治療のための有効な創薬ターゲットが広がりました。
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