質量分析法による乾燥血中のタンパク質大規模解析についての総説論文がProteomicsに掲載されました

2021/8/23

研究開発

血液中の成分分析において、乾燥血は採取の容易さに加え、その保存性や運搬、コストにおいても多くのメリットがあります。近年、質量分析機器の分析能力が高まったことにより、乾燥血を用いたタンパク質大規模解析(プロテオーム解析)に向けた技術開発が進んでいます。

弊所では、液体クロマトグラフィータンデム質量分析装置を活用して、乾燥血中のタンパク質大規模解析の精度や感度の向上を目指した開発研究を進めていますが、本総説においては、この分野の最近の動向を紹介しています。

新生児マススクリーニングにおいても、生後4~7日の赤ちゃんの足の裏から採取したろ紙血を解析して、代謝異常の有無を調べますが、より多くのタンパク質を分析することができるようになれば、これまでの血液分析では同定できなかった新たな遺伝性疾患の早期発見につながるのではないかと期待されます。

総説タイトル:Toward proteome-wide exploration of proteins in dried blood spots using liquid chromatography-coupled mass spectrometry
著者:Daisuke Nakajima, Osamu Ohara, Yusuke Kawashima.
雑誌:Proteomics
DOI:10.1002/pmic.202100019

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