マメ科植物ミヤコグサのゲノム解読について

2008/5/29

研究開発

 ~マメ科植物で世界初のゲノム解読の成果~

(財)かずさDNA研究所では、マメ科植物としては世界初となる「ミヤコグサ」(学名:Lotus japonicus)のゲノム解読に成功しました。

マメ科植物は、その根に共生して存在する根粒菌が、空気中の窒素を吸収、固定して宿主(マメ科植物)に供給するため、ダイズのような農作物には窒素肥料は不要か、極めて少なくて済みます。現在、マメ科植物以外の作物に広範に使われている窒素肥料は、その生産に莫大なエネルギー(試算によると世界の石油消費量の約3%)を消費し、さらにその運搬、散布のための労力やエネルギー、さらには窒素肥料の過剰散布による湖沼、河川の汚染、また、分解して生じる亜酸化窒素(N2O)による地球温暖化ガスとしての影響など、地球の環境面での負荷は極めて大きいものです。

今回、我々の解読したマメ科植物のゲノム情報は、先に我々によって解読された根粒菌のゲノム情報と合わせて、共生微生物による空気中の窒素固定という、極めて複雑な反応のメカニズムの解明に大きく寄与するものと考えられます。さらに重要なことは、この情報をもとに人類の長年の夢であった、イネ、コムギ、トウモロコシなど主要農業作物の全てにマメ科植物と同じような空気中窒素固定能力を与えることにより、窒素肥料を必要としない農業が生まれる可能性が生じたことです。これは、農業の生産性の向上のみならず、地球環境問題の解決に大きく寄与することになります。

なお、同様のゲノム解読プロジェクトはヨーロッパ、アメリカにおいて、タルウマゴヤシ(マメ科牧草)やダイズにおいて活発に行われていますが、我々が一歩先んじることができました。

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