トマトに隠された健康成分を見抜く
2008/4/18
研究開発生体の成分組成を一挙に解析する手法を開発
(財)かずさディー・エヌ・エー研究所は分子の質量を高精度(誤差200万分の1)で測定することができる「液体クロマトグラフィーフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析装置(LC-FTICR-MS)」を用いて植物の生体試料に含まれる代謝物成分を一挙に解析する手法を世界に先駆けて開発しました。 この手法によりトマト果実の成分を分析し、これまでに知られていない494個の新規成分を含む、869個の成分を検出しました。この中には、活性酸素消去能を持つ「フラボノイド」の仲間や、様々な薬理作用が知られている「アルカロイド」の仲間など、合わせて160種類以上の健康成分が含まれていることも明らかとなりました。
現在、同グループはこの手法により様々な野菜や観葉植物の成分を分析しており、これまで世界にない規模の代謝物データベースが構築されつつあります。このデータベースを活用することで、有用成分を高蓄積する野菜の育種や、食品・薬品の開発への応用につながることが期待されます。
この研究は愛媛女子短期大学、国立大学法人奈良先端科学技術大学院大学との協力により行なわれ、その内のトマト果実の成分分析は、(独)農業・食品産業技術総合研究機構生物系特定産業技術研究支援センターが実施する生物系産業創出のための異分野融合研究事業「トマト機能性成分を活用した花粉症・生活習慣病対策食品の開発」(平成17-21年度)の一環として実施されたものです。
本研究の詳細は国際専門誌「The Plant Journal」のオンライン版に掲載されています。