令和5年度「かずさの森のDNAキャンプ」 ~高校生を対象としたハイレベル生命科学講座~

 かずさDNA 研究所は、主要事業の中に「DNA 研究に関する人材の育成及び普及啓発」を掲げ、高校生の理科教育に率先して協力していきたいと考えています。また、生命科学研究の飛躍的な発展により、DNA がより身近な時代になってきましたので、高校生の皆さんにDNA 研究のより深い学習を通して科学的な思考力・判断力・表現力を養う機会を提供していきたいと考えています。コロナ禍でオンライン開催が続いていましたが、今回、千葉県内の高校生や全国のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)指定・指定終了高校生を対象に、2泊3日にわたる「かずさの森のDNAキャンプ」を開催しました。

 高校の理科教育より数段高いレベルの内容ですが、ゲノム科学の手法を学ぶことで、ミクロレベルの生命科学の面白さに興味を持つきっかけとなることを願っています。

日 時 令和5年8月7(月)13:00~9日(水)14:00
会 場 かずさDNA研究所 講習実験室他
参加者 応募選考による高校生10名

(北海道2名、青森県1名、秋田県1名、千葉県1名、東京都1名、神奈川県1名、愛知県1名、岐阜県1名、鹿児島県1名)

内 容 自分の遺伝子をのぞいてみよう! ~臭いを感知する嗅覚受容体遺伝子の解析~

 本プログラムでは、参加者が自身のゲノムDNAを採取し、臭いを感知する嗅覚受容体の遺伝子を調べるとともに、DNA 研究に関する幅広い内容の講義を受けました。生命科学研究の概要を知るだけでなく、分子生物学に関する主要な技術を体験しました。

1日目

 各自の口腔粘膜細胞を採取し簡易抽出したゲノムDNAを材料に、ムスクの香りを感知する嗅覚受容体遺伝子(OR5AN1)をPCRで増幅しました。また、増幅したOR5AN1遺伝子をベクターに連結し、大腸菌の形質転換を行いました。

2日目
 寒天プレート上の大腸菌コロニーを単離してOR5AN1遺伝子の塩基配列解析の準備を行いました。また、OR5AN1やスミレの臭いを感知するOR5A1遺伝子について一塩基多型の解析を行うとともに、ムスクやスミレの臭いについて官能試験を行いました。3日目のOR5AN1遺伝子の配列解析に備えて、生物情報科学(バイオインフォマティクス)の実習も行いました。研究者との交流では、弊所の副所長、小原收による講義の後に、懇談会が行われました。

3日目
 OR5AN1遺伝子の配列解析を行い、自身の遺伝子配列を確認できました。また、参加者10名は3つの班に分かれ、キャンプの間に行ったバイオテクのロジーに関する調べ学習の内容をまとめた発表会を行いました。皆さん立派に発表を行い、質疑応答にも堂々と対応されていました。

 

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