DNA実習:平成30年度「かずさの森のDNAキャンプ」

平成30年度「かずさの森のDNAキャンプ」 ~高校生を対象としたハイレベル生命科学講座~

 かずさDNA研究所では、県内の皆様に DNA研究の重要性や現状について広くお伝えできるよう取り組んでおります。また、主要事業の1つとして「DNA研究に関する人材の育成及び普及啓発」を掲げ、さまざまな理科教育支援活動を展開しております。

 今回は、DNA研究のより深い学習から科学的な思考力・判断力・表現力を養う機会を提供する場として、千葉県内の高校生や全国のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)指定高校生を対象に応募選考を行い、2泊3日にわたる「かずさの森のDNAキャンプ」を開催しました。

日 時 平成31年3月25日(月)13:00 ~ 27日(水)14:00
会 場 かずさDNA研究所 講習実験室他
参加者 応募選考による高校生12名
(岩手県1名、山形県1名、栃木県1名、埼玉県2名、千葉県2名、東京都2名、神奈川県1名、新潟県1名、滋賀県1名)
内 容 自分の遺伝子をのぞいてみよう! ~お酒の分解に関わる遺伝子の解析~

 本プログラムでは、1990年代半ばから急激に進んできたゲノム配列解析による「生物情報の加速度的な蓄積」、それをもたらした「DNA塩基配列解析技術の進歩」、蓄積する膨大な情報データを扱うための「コンピュータ解析技術の急激な発展」などを背景に築き上げられた、生命科学の新たな領域である「ゲノム科学」を体験することができます。

1日目
 各自の口腔粘膜細胞を採取し、蛍光顕微鏡により細胞を観察したのち、ゲノムDNAを抽出しまそた。また、お酒を分解するときに働く遺伝子(アルデヒド脱水素酵素、ALDH2遺伝子)の中にある一塩基の変異の有無を実験で解析し、自分がお酒に強いか弱いか調べました。

2日目
 細胞からRNAを調製し、逆転写酵素を用いてcDNA(相補的DNA、complementary DNA)ライブラリーを作製し、そのライブラリーからALDH2遺伝子をPCR法で増幅して、大腸菌を用いて単離(遺伝子クローニング)しました。平行してPCR増幅したALDH2遺伝子を処理して、「シークエンサー」と呼ばれるDNA塩基配列解析装置で読み取り、自分自身の遺伝子の配列を調べました。

3日目
 生物情報科学(バイオインフォマティクス)によるALDH2遺伝子の解析を行い、生物の進化についても考察しました。高校の理科教育より数段高いレベルの内容ですが、ゲノム科学の手法を学ぶことで、ミクロレベルの生命科学の面白さを体験していただきました。

開講式

諸注意・全体説明

講習実験室での実習開始

口腔粘膜細胞の採取とmRNAの抽出

口腔粘膜細胞の採取とmRNAの抽出

分光光度計によるRNAの定量

mRNAからcDNAの調製

電気泳動によるcDNAの確認

大腸菌の形質転換

大腸菌の形質転換

安全キャビネット内で遺伝子組換え大腸菌のプレーティング

Webツールを活用したバイオインフォマティクス

研究者との交流会・ディスカッション

夜ゼミ
「今回、参加してよかったことはなんですか?」生徒さんらの回答(原文まま)

  • 普段学校で使えないような器具を使って実験できたし、ここに来ないと得られないような知識も得ることができた。あとは研究職がどんなものかが少し分かって進路を考えるきっかけとなった。
  • 何よりも、技術の発達に驚きました。DNAを解析する機会の仕組みを知ったときは感動しました。また、先生方の説明は本当にわかりやすく丁寧で科学がもっと好きになりました!違う県から来た仲間たちと仲良くなれたことが一番うれしかったです。
  • 他の地域の同学年の人と関わりをもつことができて、教室の中だけであった己の見聞を広げることができたこと。
  • DNAに対する興味が高まったこと。日本の各地から人が集まってきていて、様々な学校の様子や文化などに触れられて良かった。
  • 学校に通っているだけでは絶対に体験できないようなレベルの高い実験を体験できた。講義で、学校よりも深くDNAなどについて教えていただけて、すごく楽しかった。現役の研究者の方々にいろんなお話がきけたり、オススメの本を教えてもらえたりした。何よりとてもとてもとてもたのしかった。ありがとうございました。
  • いろんな県からSSHの生徒が集まって、様々なことに興味を持って、研究をしている人の集まりだったので、とても沢山な考えを知ったり、自分の世界が広がった。研究者の方たちや先生方のおかげでも世界が広がった。
  • 様々な人達との交流がもてたこと。山形だけで生活していては味わえないようなコミュニケーションが味わえた。
  • DNAという学校でも勉強し体内にもある物質が、自分たちと切り離された知識としてではなく、身近な存在として、実体験をもって感じ、理解を深められたことが最も嬉しかった。また、そんな身近な物質がこんなにも未知の現象に富み、ここ数十年間で人類の世界観を変えてきたのだと思うと面白くて仕方がなく、今後も微力ながら勉強していきたいと改めて思わされる機会にもなった。
  • 自分の興味ある分野について学校の授業よりも詳しく知れました。また、分からなかったことが所々あったので、学校の生物の授業で知識を補うだけでなく自分でも調べてみたくなりました。あと、参加している人たちが自分の好きなことを徹底的に勉強している姿勢がとてもかっこいいと思い、私も好きなことをもっとハッキリさせて、人に説明したり、自慢できるような特技(?)にしていきたいです。
  • 今まで教科書の上でしか知らなかった遺伝子やDNAの仕組みについて、実際の実験や講義を通して詳しく学べたこと。授業では得られなかった知識を得ることができました。今まで曖昧に覚えていたゲノムやDNAなどの意味を1つ1つ詳しく知ることができてよかったです。講義も楽しかったです。
  • 教科書や資料集等で、今回のキャンプで行った実験を見たことがあったが、実際に実験をすることにより、これまでの実習では気付かなかった疑問点に気付き、自ら考えたり、スタッフの方々に質問するなどをして、解決することができたこと。実験操作が習得できたこと。
  • 以前から興味のあったDNAについて、かなり詳しいところまで解明することは、とても楽しかった。実験のとき、論理まで説明していただいて助かった。わからないことがあると、研究員の方々が丁寧に答えてくれたのも良かった。また、今回のキャンプでわからないことをなくそうとする姿勢が身に付いた。