大規模環境DNA調査で沿岸魚分布を決める要因を探るー魚類相を形成する複雑な海流の働きが明らかにー

2026/2/17

研究開発

 

かずさDNA研究所(山川央研究員)は、東北大学、千葉県立中央博物館、北海道大学、京都大学、神戸大学、九州大学、島根大学、龍谷大学、鹿児島大学と共同で、日本全国の沿岸で最大規模となる環境DNA調査を実施し、短期間に合計1,220種もの魚類の分布を調べることに成功しました。

近年、人間の活動によって様々な生物の分布が変化していることが報告されています。生物の分布はなぜ変化しているのでしょうか?この疑問に答えるためには、生物の分布を決める要因を明らかにする必要がありますが、広域で多くの生物に影響を与える要因を明らかにすることは非常に困難です。

研究グループは日本の沿岸魚類の分布を調べるため、日本全国528地点に及ぶ大規模な沿岸環境DNA調査を実施しました。環境DNAとは、生物から水や土壌、空気などの環境中に放出されたDNAのことです。環境DNAをうまく集めることで、少ない労力で環境中に存在する多くの生物を網羅的に調査することができます。今回の調査では、夏の3か月という短期間に各地点で採水を行い、全地点で1,220種もの沿岸魚種を検出することに成功しました。また、得られた情報から、日本の沿岸魚類の分布に影響する様々な海流の働きが明らかになりました。

この成果は、地域の生物多様性に関する理解を深め、将来の生物分布の予測に役立つことが期待されます。

 

論文タイトル:Large-scale environmental DNA survey reveals niche axes of a regional coastal fish community
著者:Yutaka Osada*, Masaki Miya*, Hitoshi Araki, Hideyuki Doi, Akihide Kasai, Reiji Masuda, Toshifumi Minamoto, Satoquo Seino, Teruhiko Takahara, Satoshi Yamamoto, Hiroki Yamanaka, Mitsuhiro Aizu-Hirano, Keiichi Fukaya, Takehiko Fukuchi, Ryo O. Gotoh, Masakazu Hori, Midori Iida, Tomohito Imaizumi, Tadashi Kajita, Takashi Kanbe, Tanaka Kenta, Yumi Kobayashi, Tomohiko Matsuura, Hiroki Mizumoto, Hiroyuki Motomura, Hiroaki Murakami, Kenji Nohara, Shin-ichiro Oka, Tetsuya Sado, Hiroshi Senou, Koichi Shibukawa, Tomoki Sunobe, Hiroshi Takahashi, Koji Takayama, Katsuhiko Tanaka, Hisashi Yamakawa, Satoru Yokoyama, Seokjin Yoon, Michio Kondoh*
掲載誌:Scientific Reports
DOI:10.1038/s41598-025-31307-4

詳しくは東北大学のプレスリリース資料をご覧ください。

 

研究所内で行われている環境DNA分析の様子

 

Facebook
X
SDGs