脂質が自己免疫性皮膚疾患を制御する仕組みを解明

2025/12/24

研究開発

かずさDNA研究所は、免疫細胞にあるRORγtというタンパク質に脂質が結合するのを防ぐことで、自己免疫疾患の一つである乾癬(かんせん)の症状が顕著に抑えられることを明らかにしました。

近年、代謝と免疫のつながりを解き明かす「イムノメタボリズム」という研究分野が注目されています。中でも、免疫細胞のひとつであるTh17細胞が乾癬や多発性硬化症などの自己免疫疾患に関わることが報告されていますが、そのメカニズムはまだ十分に解明されていません。

私たちはこれまでに、Th17細胞にあるRORγtというタンパク質に脂質が結合することで自己免疫疾患が誘導されることを報告してきました。今回、RORγtに脂質が結合しない状態を作り、その影響を調べました。その結果、脂質が結合できない場合にはTh17細胞の働きが弱まり、慢性の炎症性皮膚疾患の一つである乾癬の症状が大きく抑えられることがわかりました。一方、多発性硬化症では症状の抑制は見られず、疾患ごとにTh17細胞の働き方が異なることも明らかになりました。

今回の研究により、脂質が関わる免疫のメカニズムの一端が示され、自己免疫疾患の理解や新たな治療法の開発につながることが期待されます。

詳細はプレスリリース資料をご覧ください。

論文タイトル:The RORγt ligand-binding domain controls the pathogenicity of IL-17A-producing cells differently in autoimmune diseases of the skin and CNS
著者:Keisuke Miyako, Toshio Kanno, Takeru Endo, Souta, Yoshida, Yukie Iwao, Keiko Nakano, Arisa Ito, Satoru Yokoyama, Hikari K. Asou, Kazuko Yamada, Takaharu Kimura, Manabu Nakayama, Osamu Ohara and Yusuke Endo
掲載誌:Cell reports
DOI:https://doi.org/10.1016/j.celrep.2025.116700

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