南米アンデス起源のスーパーフード「キヌア」のゲノム配列を解読

2024/8/21

研究開発

かずさDNA研究所は、国際農林水産業研究センター、岡山大学、PROINPA、マヨール・デ・サン・アンドレス大学(UMSA)、京都大学、筑波大学と共同で、北部高地型と南部高地型のキヌアのゲノム配列を解読しました。

キヌアは南米アンデス高地を起源とする穀物で、近年スーパーフードとして注目を集めています。これまでの研究で、キヌアは遺伝子型の解析から北部高地型、南部高地型、低地型の3つに分類されることが分かっています。低地型のキヌアは小さく、アイボリー色の実をつけ、日本や世界中の温帯での栽培に適しています。一方、高地型のキヌアは白く大きな実をつけ、アンデス高地の干ばつなどの厳しい環境下で栽培されており、世界中に輸出されています。キヌアは、農業上重要な形質の多様性が高く、さまざまな環境で栽培できる可能性を秘めています。

かずさDNA研究所は2016年に低地型キヌアのゲノム配列を報告していましたが(プレスリリース)、北部高地型および南部高地型のゲノム情報は明らかにされていませんでした。本研究では、北部および南部高地型のキヌア2系統のゲノムをロングリード技術を用いて染色体レベルで解読することに成功しました。

この研究により、赤色の色味の異なる高地型および低地型のキヌア系統の間で、赤色色素であるベタレインの生合成に関わる遺伝子が集積しているゲノム領域の配列に違いがあることが明らかになりました。これらの発見は、キヌアの遺伝子機能の解明やゲノム研究に役立つだけでなく、キヌアの栽培やさまざまな環境に適応するために必要な遺伝子の理解にも貢献することが期待されます。

研究成果は国際学術雑誌 Frontiers in Plant Scienceで、8月19日(月)にオンライン公開されました。

本研究は、(公財)かずさDNA研究所、JSPS科研費(JP22K05374、JP22H05172、JP22H05181、JP23KK0113、JP21H02158、JP23K18036)、ムーンショット型農林水産研究開発事業「サイバーフィジカルシステムを利用した作物強靭化による食料リスクゼロの実現」(JPJ009237)、科学技術振興機構(JST)と国際協力機構(JICA)の連携事業である地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)「高栄養価作物キヌアのレジリエンス強化生産技術の開発と普及」(JPMJSA1907)の研究助成を受けたものです。

タイトル:Chromosome-level genome assemblies for two quinoa inbred lines from northern and southern highlands of Altiplano where quinoa originated
著者:Yasufumi Kobayashi, Hideki Hirakawa, Kenta Shirasawa, Kazusa Nishimura, Kenichiro Fujii, Rolando Oros, Giovanna R. Almanza, Yukari Nagatoshi, Yasuo Yasui, Yasunari Fujita
掲載誌:Frontiers in Plant Science
DOI: 10.3389/fpls.2024.1434388

 

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