新生児のうんち(初回胎便)のタンパク質組成を解明~性別、在胎週数、疾患の有無で異なる~
2024/7/18
研究開発かずさDNA研究所は、東京大学、群馬県立小児医療センター、千葉大学と共同で、新生児が排出する初めてのうんち(胎便)に含まれるタンパク質組成が性別・在胎週数・疾患の有無と関連していることを明らかにしました。
これまで、さまざまな種類の検体を用いて壊死性腸炎や胎便関連性腸閉塞に関する研究が行われてきましたが、これらの疾患の原因や病態の解明には至っておらず、採血など新生児への負担が大きい検体採取も課題となっていました。
そこで、本研究グループは赤ちゃんに負担をかけずに取れる胎便に注目し、胎便のタンパク質を解析したところ、消化管に限らず脳や心臓、さらには骨などの全身の組織に由来する、5,370種類のヒト由来のタンパク質が含まれていることがわかりました。
タンパク質組成と新生児の特徴を調査した結果、(1)新生児の性別で比べると、女児では体液性免疫のタンパク質が高く、消化管のストレス耐性に影響を与える可能性があること、(2)在胎週数によって変動するタンパク質があり、早産児ではコラーゲンなど液体に溶けにくい物質が多いこと、(3)消化管疾患・先天性心疾患・染色体異常・先天感染といった疾患群と母体の状態(妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群)によって、胎便のタンパク質組成が異なることを確認しました。
本研究の結果から、新生児への負担が比較的少ない方法で消化管の状態を評価することができるだけでなく、先天性の心疾患、染色体異常、先天感染などの全身性の疾患の原因解明にも大いに役立つことが期待されます。
詳しくは、東京大学のプレスリリースをご覧ください。