イチジクの雄株・雌株を決める遺伝子の探索 ~食用となる雌株選抜の効率化~

2024/7/4

研究開発


イチジクは、一つの木に雌花しかつかないか、雄花と雌花の両方がつく特徴を持っています(雌性両性異株)。「無花果」と書くように、見た目には花が咲かずに果実ができているように見えますが、私たちが普段食用にしている部分は、小さな花がたくさん集まった花嚢(かのう)と呼ばれる部分が膨らんでできた果実で、すべて雌花をつける株からとれたものです。雌花をつける株でなければ食用にできないので、育種の過程では雌株を選抜する必要があり、花の性別を決定する遺伝子の特定が求められています。

かずさDNA研究所は、福岡県農林業総合試験場、農研機構、遺伝学研究所、セルイノベータ株式会社、九州大学と共同で、性決定に関連する遺伝子座を特定するために、雌系統「蓬莱柿」と雄系統「カプリフィグ6085」のゲノム配列を解読しました。雌系統と雄系統の間で異なる遺伝子型を比較し、遺伝子型と株の性別の違いに関連する表現型が一致する遺伝子の場所を調査した結果、FcRAN1遺伝子とFcAG遺伝子が性決定に関与している可能性が示されました。今後、雌株の選抜が効率化され新しい品種の開発につながることが期待されます。

研究成果は、2024年7月3日に国際学術雑誌「Scientia Horticulturae」にオンライン公開されました。

本研究の成果は、JSPS科研費(26850025、16H04878、16H06279 [PAGS]、19H02952、 22H05181)および(公財)かずさDNA研究所の研究助成を受けたものです。

論文タイトル:Genome-wide association studies using chromosome-scale genomes of male and female lines redefines two sex-linked loci in linkage disequilibrium in Ficus carica L.
著者:Hidetoshi Ikegami, Kenta Shirasawa, Hiroshi Yakushiji, Atsuhi Toyoda, Takeshi Hayashi, Shiori Yabe, Kazuki Mori, Chiharu Hirata, Hitoshi Nogata, Kosuke Tashiro
掲載誌:Scientia Horticulturae
DOI:10.1016/j.scienta.2024.113424

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