がん細胞ワクチンが ”効く” メカニズムを解明

2023/6/1

研究開発


かずさDNA研究所、北海道大学遺伝子病制御研究所、北海道大学大学院医学院は、共同でがんの治療に有効な
「がん細胞ワクチン」が効くメカニズムを解明しました。

不活化したがん細胞そのものをワクチンとして用いる「がん細胞ワクチン」は、幅広い患者に適用できる免疫
療法として期待されています。しかし、効果が確認できる例が少なく、またワクチンが働くメカニズムもよく
わかっていませんでした。

そこで今回、ワクチン効果が高いがん細胞とワクチン効果を示さないがん細胞から作ったがん細胞ワクチンの
間で遺伝子の働きを比較したところ、ワクチン効果が高い細胞では、自然免疫に関わる3つの遺伝子(Irf7、
Ifi44、Usp18 )が強く働いていることがわかりました。この3つの遺伝子を、ワクチン効果がない細胞に人工
的に導入すると、効果が高まることがわかりました。また、ワクチンが効いているマウスのリンパ節細胞では、
インターフェロン-γを産生するB細胞が増加しており、ワクチンが効く際にB細胞が重要な役割を担っていること
も明らかになりました。

マウスのがん細胞を用いて行われた今回の研究結果は、ワクチン効果が見込めないタイプのがん細胞であっても、
Irf7、Ifi44、Usp18といった遺伝子を導入した上でワクチン接種を行えば、がんの再発予防効果が見込める可能
性があることを示しています。また、がん細胞ワクチンが効果を発揮するためにはB細胞が重要であることも
わかりました。

詳しくは、北海道大学のリリース資料をご覧ください。

論文タイトル:Augmented interferon regulatory factor 7 axis in whole tumor cell vaccines prevents tumor recurrence by inducing interferon gamma-secreting B cells

著者:Nabeel Kajihara, Yoshino Tanaka, Riko Takeuchi, Takuto Kobayashi, Masafumi Tanji, Tsukasa Ataka, Shiho Nakano, Taisho Yamada, Akinori Takaoka, Yoshinori Hasegawa, Ken-Ichiro Seino & Haruka Wada

掲載誌:OncoImmunology(腫瘍免疫学の専門誌)

 

Facebook
X
SDGs