野生ダイズのゲノムを高精度に解読しました

2019/4/23

研究開発

 かずさDNA研究所は、香港中文大学などとの共同研究で、野生ダイズ(Glycine soja)のゲノムを解読しました。同グループでは2014年7月に、野生ダイズの概要配列をNature communications誌に発表していますが、今回は一分子シークエンサーなどの新しい技術を用いてさらに高精度に解析しました。前回は8億6800万塩基対を34,137のScaffolds(スキャッフォールド;ひとつながりのDNA塩基配列)にしましたが、今回は10億1320塩基対を1,118のScaffoldsにすることができました(野生ダイズの染色体数は2n=40なので、すべてを解読することができればScaffoldsは20となる)。

 東アジアの広い範囲で自生する野生ダイズは、ストレス耐性など栽培ダイズにない有用形質に関する遺伝子をもつことから、遺伝子資源として有用です。野生ダイズは栽培ダイズと交雑することができ、これまでにも品種改良に利用されていますが、ゲノム情報が不充分なことからあまり実用的ではありませんでした。野生ダイズのゲノム構成は栽培ダイズのものとは異なるために、高精度な全ゲノム解読が行われている栽培ダイズの情報をそのまま用いることはできません。

 今回の解析により、栽培ダイズと野生ダイズのゲノム間では、染色体11番と13番の間で転座が起きていることが確認できました。また、加熱していないダイズを食べると消化不良を起こす原因となる遺伝子の重複数が、栽培化により減少したことを明らかにしました。さらに、種皮の色を決定する遺伝子座を同定しました。
これらの情報は、野生ダイズのもつ有用な形質を栽培品種にもたらすときに重要な情報になります。

この研究においてかずさDNA研究所は、種皮の色を決定する遺伝子座の同定に関して、画像解析による種皮色の評価を行いました。

研究成果は、Nature Communications誌で3月14日にオンライン公開されました。

論文タイトル:A reference-grade wild soybean genome.
論文のURL:https://www.nature.com/articles/s41467-019-09142-9