Manual PowerGet PowerMatch PeakAlignment
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PowerMatchでは、MS/MSフラグメントパターン | PowerMatchでは、MS/MSフラグメントパターン | ||
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+ | このように、RTのずれが大きいほど、またファクター設定が大きいほど、マス値やMS/MS類似性評価値が設定した許容範囲を超えやすくなり、「マッチしない」と判断されやすくなります。 |
2013年4月24日 (水) 10:40時点における版
ピークのアラインメント
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複数のサンプル間で、同じ化合物に由来すると考えられるピークを対応づけることを、ここでは「ピークのアラインメントをする」と呼んでいます。
同一の化合物かどうかの判断は、クロマトグラフィーの保持時間、検出されたm/z値、MS/MSが取られているピークの場合はMS/MSフラグメントパターンの類似性を考慮して行われます。したがってアラインメントをする複数のサンプルは、溶出時間を比較可能な同一のクロマトグラフィー条件で分析されていることが前提となっています。
PowerMatchのアラインメント機能には次のような特徴があります。
- MS/MSの類似性を考慮する
- PowerFTでイオン化状態を推定しているため、m/zではなく元の分子の分子量で比較することが可能。このため、ポジティブモードとネガティブモードのデータを一緒にアラインメントすることも可能です。
アラインメント条件の設定
PowerMatchを起動しホームディレクトリを選択した後、サンプルセットが作成されているものとします。サンプルセットが作成されていない場合は、前項を参照して作成してください。
メイン画面の メニューから、 を選択すると、Alignment Settingsウィンドウが開きます。ここでパラメーターを設定した後、 ボタンを押してください。
アラインメントパラメーター
溶出時間の許容範囲
Alignment Conditions: 欄の「R.T. margin」に、数値(単位は分)を入力します。比較する二つのピークの溶出時間が設定値を超えた場合は、同一化合物と見なされません。
質量値の許容範囲
Alignment Conditions: 欄の「m/z margin」に、数値を入力し、その単位を「ppm」または「m/z」から選択します。比較するふたつのピークの質量値が設定値を超えた場合は、同一の化合物とみなされません。
比較する質量値は「Mass Compare Mode」で以下から選択します。
- by Actual Mass
- 推定された付加イオンを除去した分子の分子量
- by Detected Mass
- 検出されたm/z
- by Both
- 上記二つともが一致していなければ、同一化合物とはみなさない
Enable MS/MS comparison
チェックを入れると、MS/MSが取られているピーク同士はMS/MSの類似性を考慮した比較が行われます。この比較は、サンプルセット作成時に「MS/MS Group Index」に同一の値を入力したサンプル間だけで行われます。
MS/MS類似性の評価
検出されたMS/MSフラグメントのうち、比較に用いるフラグメント
MS/MS類似性の評価
MS/MS matching: で設定します。
PowerMatchでは、MS/MSフラグメントパターン
溶出時間(RT)によるマス値、MS/MS類似性評価値の重み付け
アラインメントは、1)溶出時間、2)マス値、MS/MSが取得されている場合には3)フラグメントパターンの類似性といった、それぞれ独立した単位の数値をもとに評価されます。R.T. considerationのチェックを入れると、比較するふたつのピークの溶出時間(R.T.)の差に、設定したファクターをかけて、それをマス値の差の増大、MS/MS類似性評価値の低下と見なしてアラインメントを行うようになります。つまり、溶出時間(RT)によって、マス値とMS/MS類似性評価値に重み付けをすることができます。
どの程度のファクターが適切なのかを見極めることが難しいため、この設定はあまり使われることがありません。しかし、うまく設定することでよりよいアラインメントが得られるかも知れません。
ファクター設定は、Weight RT -> Mass欄(マス値用)、およびWeight RT -> CC欄(類似性用)で設定します。
たとえばWeight RT -> Mass欄に0.001(デフォルト)が入力されていると、二つのピーク間の溶出時間の差1秒間あたり、マス値の差が0.001加算されて評価されます。
Weight RT -> CC欄に0.05(デフォルト)が入力されていると、二つのピーク間の溶出時間の差1秒間あたり、MS/MSの類似性評価値が0.05減算されて評価されます。
このように、RTのずれが大きいほど、またファクター設定が大きいほど、マス値やMS/MS類似性評価値が設定した許容範囲を超えやすくなり、「マッチしない」と判断されやすくなります。