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内部標準によるm/zの補正

目次

フーリエ変換イオンサイクロトロン質量分析(FT-ICR-MS)やオービトラップ型質量分析(Orbitrap-MS)では、1~3 ppmといった高精度の質量分析が可能です。既知の内部標準物質(internal standards, IS)を添加した分析を行い、その精密質量値で検出データを補正することで、さらに高精度の質量分析を行うことが可能になります。

ここでは、クロマトグラフィーでの分離の後に常に内部標準物質(複数)を添加しながら質量分析をする「ポストカラムインジェクション」での分析データを想定し、全スキャンポイントでm/zの補正を行う方法を紹介します。


このIS補正で作成された補正データは、実際には解析の4ステップ目「Peak Assignment」で使用されます。


ポストカラムインジェクションで分析されていないデータは、この補正を行う必要はありません。また、データ取得環境によっては、内標補正により逆にずれが大きくなることもあります。データに応じて補正の有無をご検討ください。



IS補正ツールの使い方

FileメニューOpen Home Directoryで、ホームディレクトリを選択後、AnalysisメニューMass Correction by ISを選択します。

Select Fileボタンで補正を行うFull MSファイルを選択します。

Select Modeプルダウンリストで分析モードを選択すると、直下のパネルの内標データが切り替わります。適切な内標セットを選択してください。

適切な内標セットがない場合は、こちらの方法で内標を登録してください。PowerSuiteを再起動後、もう一度IS補正ツールを立ち上げてください。

今回補正に使用するISにチェックを入れ、Load Fileボタンを押します。すると、Scan No.にスキャン番号のリスト表示されます。リストをクリックすると、そのスキャン番号におけるマスクロマトグラムが表示され、内標として認識されたイオンが青い丸で表示されます。内標イオンがきちんと認識されているかをご確認ください。


問題がなければ、「complement undetected ISs with their FWs」にチェックがついていることを確認し、Correct Allボタンを押してください。

ホームディレクトリに元のファイル名の先頭に「ISC_」がついたファイルができています。これが補正後のデータです。

元のファイル名に「Log_」がついたファイルは、各スキャンごとに内標の理論m/z値(一列目)とその検出値(二列目)が表示されています。

オプション

complement undetected ISs with their FWs

このチェックをつけておくと、複数あるうちのいくつかのISが検出されなかった場合、そこにISがあるものと見なして線形補正がされます。ただし、認識された内標がゼロだった場合、補正はされません。

以下で示すように、IS補正の処理では、認識内標が少ない場合に大きな誤差を生じる可能性があります。このため、このチェックは通常 つけて解析することをお勧めします。

Correct One

Correct Oneボタンを押すと、現在選択されているスキャン番号のデータのみが出力されます。ファイル名は「PEAKDMASS_スキャン番号.mit」となっています。


IS補正処理の詳細

設定した内標イオンの理論m/z値にm/z ±0.05以内で最も近い検出イオンが内標として認識されます。

認識された内標の検出m/z値を理論値と見なし、内標で挟まれた領域の他のピークを線形補正します。検出された内標の最小m/zより低分子側、および最大m/zより高分子側の領域は、外挿法により線形補正されます。 このほか、認識された内標が少なかった場合は、以下の通り処理されます。

認識された内標がゼロの場合、補正は行われません。

認識された内標が1つだった場合、原点と検出内標を結ぶ直線で補正されます。

認識された内標が2つだった場合、2点を結ぶ直線で線形補正されます。



IS情報の登録

PowerGetソフトのconfigフォルダ、powerFTフォルダ中のPowerFT.iniを、テキストエディタなどで開きます。

[Internal Standards]と書かれた以降の行に、以下のように記載します。

:任意のラベル
内標1の理論m/z \t trueまたはfalse \t 内標名1
内標2の理論m/z \t trueまたはfalse \t 内標名2

「\t」はタブを示します。Windows標準のメモ帳などでは、タブとスペースの区別がつきにくいので、ご注意ください。

trueまたはfalseは、デフォルトでの選択状態を設定します。trueかfalseのどちらかを記載してください。

設定が終わったら、PowerFT.iniを上書き保存します。設定を有効にするには、PowerGetを再起動してください。

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