テーマ 19DNA分子はねじれたはしごのような形をしています

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ジェームズ・ワトソンとフランシス・クリックは DNAの構造を解きました。ロザリンド・フランクリンやモーリス・ウィルキンスなどの他の科学者も、この発見に貢献しました。

　ロザリンド・エルシー・フランクリンはイギリスのロンドンに生まれました。彼女の家族は裕福で、両親共に、社会的、公共的な仕事に深く関わっていました。フランクリンの父親は科学者になりたかったのですが、第一次世界大戦により教育が中断されたため、科学者ではなく、大学の先生になりました。ロザリンド・フランクリンは非常に知的能力が高く、15歳までに科学者になりたいと自覚していました。女性がそのような職業を持つことは大変困難だったので、父親は盛んに思い留まらせようとしました。しかし、セント・ポール女子高校: 当時、女子に物理と化学を教えていた数少ない高校のひとつ、での卓越した教育により、フランクリンは1938年に、化学を学ぶために、ケンブリッジ大学に入学しました。

　卒業時に、彼女は大学院進学のための研究奨学金を授与されました。彼女は1年間、R.G.W.ノリッシュの研究室で過ごしましたが、大した成果は得られませんでした。ノリッシュはフランクリンの能力に気がついていましたが、女子学生に対してあまり励ましたり支援したりしませんでした。イギリス石炭利用研究機構（CURA）で助手の口があった時、フランクリンは奨学金を放棄して、この職に就きました。

　CURAは若い組織で、研究に対して形式的なことで縛られることがあまりありませんでした。フランクリンは全く独立に研究し、その環境が彼女に合っていました。フランクリンは1947年までCURAで働きました。そして石炭の物理構造について、多くの論文を発表しました。

　フランクリンの次の職はパリでした。彼女の古い友だちが、フランスでほとんどの研究を指揮していたマルセル・マチューに彼女を紹介しました。彼は彼女の仕事に感心し、彼女にパリの国立中央化学研究所での“研究員”の職を与えました。ここで、彼女は ジャック・メリングからX線結晶回折技術を学びました。

　1951年、フランクリンはロンドン大学のキングズ・カレッジの3年間の研究奨学金を与えられました。フランクリンは知識を生かして、キングズ・カレッジのX 線結晶学の装置一式を立ち上げて、改良しました。その頃すでに、モーリス・ウィルキンスはキングズ・カレッジでX線結晶学を使ってDNA問題を解こうとしていました。フランクリンはウィルキンスが不在の間に着任しました。ウィルキンスは戻って来た時、彼女は自分の助手として雇われたと思っていました。これは2人にとって不幸な始まりでした。2人の関係はまったく改善されることはありませんでした。

　レイモンド・ゴスリングという学生と共同で、フランクリンは結晶化されたDNA繊維の高解像度の写真を2セット得ることができました。彼女は2つの異なる種類の DNA繊維を使いました。片方はもう片方より高度に水和して（水分を含んで）いました。この写真から、彼女はDNA鎖の基本的な物性、リン酸が、何かおそらくらせん構造を持つものの外側にあるのだと予測しました。

　彼女は、ジェームズ・ワトソンが出席していたキングズ・カレッジの講義でその写真を見せました。ジェームズ・ワトソンの本、“二重らせん”の中で、ワトソンはフランクリンの話に注意を払わなかったので、フランシス・クリックに講義と結果を完全に伝えることができなかったと認めています。ワトソンとクリックはキャヴェンディッシュ研究所にいて、DNAの構造を解く研究をしていました。フランクリンはワトソンとクリックを知りませんでしたし、ウィルキンスも彼らと協力することはありませんでした。ワトソンとクリックにフランクリンが得たX線データを見せたのは、ウィルキンスでした。データはワトソンとクリックがDNAを理論化した3D構造を追認しました。1953年、ウィルキンスとフランクリンは、彼らのX線データについての論文を、ワトソンとクリックのDNA構造の論文と同じ号のNature誌に、発表しました。

　フランクリンはケンブリッジを1953年に去り、タバコモザイクウイルスの構造の研究をするために、バークべックの研究室に移りました。彼女はがんに冒されながらも、その研究で多くの論文を書き、実際多くの仕事をしました。彼女はがんのため 1958年に亡くなりました。

　1962年に、DNAの構造を解いた功績に対して、ノーベル生理学・医学賞が、ジェームズ・ワトソン、フランシス・クリック、そしてモーリス・ウィルキンスに与えられました。ノーベル委員会は亡くなった人に賞を与えません。