水稲品種「ゆうだい21」のゲノムを解読! ~優れた食味の遺伝的基盤が明らかに~
2025/12/3
研究開発
米は世界の主要な主食であり、その品質は消費者の好みと市場価値に大きく影響します。高品質な米の需要が増加しており、新品種を開発することが求められています。「ゆうだい21」は、宇都宮大学が2010年に品種登録した水稲品種で、日本国内の食味コンテストで高い評価を得ています。しかし、「ゆうだい21」の育種親や、その優れた食味に関係する遺伝的な要因などは未解明でした。
本研究では、最新のDNAシークエンサー(DNAの塩基配列を解読する装置)を用いて、「ゆうだい21」のゲノム解読を行い、既知の水稲品種のゲノムDNAや、これまでに水稲で明らかにされている遺伝子と比較して解析を進めました。その結果、「ゆうだい21」の遺伝背景は「コシヒカリ」で、ゲノムの少なくとも6箇所がアウス型イネ(南アジアで古くから栽培されてきたイネの品種群)のゲノムDNA断片に置き換わっていること、アウス型イネに「コシヒカリ」の花粉が交配したことで、「ゆうだい21」の元となった水稲が生じたことが明らかとなりました。また、「ゆうだい21」は37,522個の遺伝子を保有しており、そのうち1,017個で「コシヒカリ」の遺伝子と塩基配列に違いがみられました。これらの遺伝子の中に「ゆうだい21」の優れた食味や貯蔵適性、高温栽培でも未熟粒の発生が少ないといった特性に関連するものがあると考えられます。
本研究の成果により、優れた食味と収穫後の安定性をかねそなえた品種の開発につながることが期待されます。
論文タイトル:Genome-wide analysis of Udai21: Unraveling the genetic basis of superior eating quality in rice
著者:Hiroki Ikeda, Masatsugu Tamura, Takayuki Ohnishi, Kenta Shirasawa
掲載誌:PLOS One
DOI:https://doi.org/10.1371/journal.pone.0324304
詳しくは宇都宮大学のプレスリリース資料をご覧ください。




