未来を読む育種で2つの薬効を同時改良~アカジソで示した新戦略~
2025/6/20
研究開発かずさDNA研究所、東京大学、株式会社ツムラは共同で、薬用植物アカジソを用いて、遺伝情報を利用した新たな品種改良の方法を開発しました。
私たちの身近にある多くの作物は、人間にとって有用な特性を持つように長い期間をかけて改良をされてきました。従来の方法では、どの個体同士をかけ合わせれば、次の世代で有用な作物が育成できるかは、専門家の経験や直感に基づいて判断されてきました。しかし、専門家がいない植物では、効率良く品種改良を進めることができません。
この問題を解決する方法として、「ゲノミック選抜」と呼ばれる手法が注目され、いくつかの作物では実用化が進んでいます。これは、植物ゲノムの膨大なデータを利用して、将来の特性を予測し、それに基づいて有望な個体を選抜する技術です。特に、薬効成分のように目に見えない特性は、測定に手間がかかるため、このような技術の効果は絶大です。
今回の研究では、ゲノミック選抜の手法を利用し、アカジソの2つの薬効成分の改良を目指しました。その結果、従来の育種手法と比べて、遺伝的な改良程度が最大で18%向上しました。この手法はアカジソに限らず他の植物にも応用可能であり、データを活用した品種改良が進むことが期待されています。
論文タイトル : Optimization of crossing strategy based on the usefulness criterion in inter-population crosses considering different marker effects among populations
著者 : Sei Kinoshita, Kengo Sakurai, Kosuke Hamazaki, Takahiro Tsusaka, Miki Sakurai, Kenta Shirasawa, Sachiko Isobe, Hiroyoshi Iwata
掲載誌 : Theoretical and Applied Genetics
DOI : 10.1007/s00122-025-04935-7
詳しくは東京大学のプレスリリース資料をご覧ください。