オウトウ(サクランボ)のゲノムを解読しました。

2017/5/26

研究開発

~ゲノム情報を用いた育種が可能に~

公益財団法人かずさDNA研究所と山形県農業総合研究センター園芸試験場、北海道立総合研究機構(道総研)中央農業試験場、農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)果樹茶業研究部門は、オウトウ(サクランボ)品種「佐藤錦(さとうにしき)」のゲノムを解読しました。

オウトウは、多くの交雑実生とそれを植栽する広い圃場を必要とし、交配から20年ほどの歳月を経てようやく品種が出来上がります。このように新品種の開発に多くの時間や圃場が必要な果樹では、ゲノム情報を駆使したゲノム育種の手法が非常に有効です。

今回のオウトウのゲノム解読により、約43,400個の遺伝子をみつけました。これらの遺伝子を他のバラ科果樹(モモ、ウメ、リンゴ、イチゴ)と比較したところ、約1万6000種類の遺伝子がオウトウでのみ見られるものでした。

また、果肉の色が赤い「紅さやか」や、自分の花粉だけでも実を結ぶ特別な性質(自家結実性)をもつ「紅きらり」など山形県育成のオウトウ6品種のゲノムも解読し、約116万個のDNA配列の違いを明らかにしました。これらの情報から、オウトウの育種に重要な、果実の色や形、品質に関わる遺伝子などが明らかになる可能性があります。

これらの情報はデータベースDBcherry(URL: http://cherry.kazusa.or.jp)を介して一般に公開しています。オウトウは、他のバラ科の果樹(モモ、ウメ、リンゴ、ナシなど)に比べてゲノム情報の整備が遅れていましたが、本研究の成果によりオウトウでのゲノム育種への道が拓けました。今後は、オウトウの育種に重要な、果実の色や形、日持ち性などの品質に関わる遺伝子の解析を進めていきます。

この研究成果は、平成29年5月25日付のDNA Research誌にてオンライン公開されました。

写真:今回解析に用いた
オウトウ(サクランボ)品種「佐藤錦」

(山形県農林水産部園芸農業推進課 提供)

論文情報:
The genome sequence of sweet cherry (Prunus avium) for use in genomics-assisted breeding.
(ゲノム情報をもとにした育種のための、オウトウ(サクランボ)のゲノム配列解析)

白澤健太1、五十鈴川寛司2、池永充伸3、齋藤裕太郎2、山本俊哉4、平川英樹1、磯部祥子1

1 公益財団法人 かずさDNA研究所
2 山形県農業総合研究センター 園芸試験場
3 地方独立行政法人 北海道立総合研究機構 農業研究本部農業試験場
4 国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 果樹茶業研究部門

DNA ResearchのURL:https://academic.oup.com/dnaresearch
論文のURL:https://doi.org/10.1093/dnares/dsx020

<詳細につきましては以下の資料をご覧ください>
サクランボ資料(PDF:349KB)