遺伝子変異による病変の予測

2016/12/21

研究開発

(公財)かずさDNA研究所、広島大学、岐阜大学と米国ロックフェラー大学は共同研究により、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)のサポートを受け、遺伝子変異によりどのような病変がもたらされるかを高精度に予測できる参照データベースをSTAT1遺伝子で作製しました。

STAT1は、私たちの体をウイルス感染などから守るのに働く分子のひとつで、STAT1遺伝子に入った変異により原発性免疫不全症が引き起こされますが、変異が入った場所により全く異なった臨床症状を示す一方、稀に類似した臨床症状を示すことがあります。これまでにも病気の原因を理解し治療法を開発するために、患者さんで見つかった個々の変異について機能解析が行われていましたが、変異の種類が多く、個別解析に手間がかかっていました。

そこで研究チームは、遺伝子変異によりどのような病変がもたらされるかを高精度に予測する方法として、STAT1のアミノ酸を1つずつアラニンに置換した変異体を網羅的に作製し、個々の置換体の機能解析を行うことでSTAT1遺伝子変異の参照データベースを確立しました。そして、STAT1遺伝子の既知の変異と比較したところ、既存の予測方法より高い確率で病態を引き起こす変異かどうかなどを判定できていることがわかりました。

この研究成果は、STAT1遺伝子変異の病態理解と治療法開発の手がかりとなるとともに、このようなデータベースが他の遺伝子でも確立できれば、網羅的解析により同定される多数のアミノ酸置換から病気の原因となる変異を判定することができると期待されています。

本研究成果は、2016年12月20日に米国の医学専門誌The Journal of Allergy and Clinical Immunologyで公開されました。

論文情報:
Alanine-scanning mutagenesis of human STAT1 to estimate loss- or gain-of-function variants.
(和訳)機能喪失型もしくは機能獲得型変異を推定するためのヒトSTAT1のアラニンスキャニング突然変異