性決定遺伝子の二刀流を発見~男の性を決める遺伝子がカエルではメスを決定する~

2024/12/27

研究開発

かずさDNA研究所、広島大学、北里大学、キャンベラ大学、横浜市繁殖センターは共同で、ツチガエルではSox3遺伝子がメスの性を決定していることを明らかにしました。

ヒトやマウスなどでは、性染色体のY染色体上にあるSry遺伝子がオスを決定します。このSry遺伝子はもともとSox3遺伝子から進化したもので、一部のメダカでは、Y染色体上のSox3遺伝子の働きによって、オスを決定しています。

ツチガエルでのSox3遺伝子の役割を明らかにするため、遺伝子発現やゲノム編集を用いた遺伝子破壊の解析を行った結果、Sox3遺伝子は(1)生殖器官が分化するよりはるか以前に発現していること、(2)遺伝子を破壊すると、本来メスになるはずの個体が、精巣をもつオスもしくは精巣と卵巣を併せ持つ雌雄同体になることが明らかとなりました。この結果から、Sox3という一つの性決定遺伝子が、動物によってはオスを決める遺伝子になったり、メスを決める遺伝子になったりする、機能的二面性を持つことを世界で初めて見出されました。

本研究の成果は、進化の過程で性決定遺伝子が、なぜ、どのようにして変化するのか、その分子機構を解明するうえで重要な足掛かりとなります。

詳細は広島大学のホームページをご覧ください。

論文タイトル:Disruption of Sex-Linked Sox3 Causes ZW Female-to-Male Sex Reversal in the Japanese Frog Glandirana rugosa
著者: Ikuo Miura, Yoshinori Hasegawa, Michihiko Ito, Tariq Ezaz and Mitsuaki Ogata
掲載誌:Biomolecules
DOI:10.3390/biom14121566

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