原発性免疫不全症の新生児期診断の実現へ -多数の遺伝性疾患を対象とした網羅的ろ紙血プロテオーム検査法の開発-
2024/11/1
研究開発かずさDNA研究所と京都大学は共同で、新生児マススクリーニングに使われている乾燥ろ紙血からタンパク質を調べることで、免疫に関わる遺伝性疾患を早期に診断できる可能性を示しました。
遺伝子の変異が原因で起きる生まれつきの病気(遺伝性疾患)は、進行すると治療が難しくなる事が多く、早期に見つけて治療を開始することが重要です。日本では全ての赤ちゃんを対象として「新生児マススクリーニング」という生まれつきの病気の検査が行われていて、早期に発見・治療することで将来的な障害を予防する事に役立っています。しかし、従来の方法では診断できる病気が限られていることが課題となっていて、費用的・技術的な負担を増やすことなく、より多くの病気を検査することができる方法の開発が求められていました。
京都大学とかずさDNA研究所の共同研究グループは、新生児マススクリーニングに使われている乾燥ろ紙血を用いてタンパク質解析を行うことで、特定の免疫系遺伝性疾患に関係するタンパク質が大幅に減少していることを発見しました。
今回の研究成果を応用すれば、より多くの遺伝性疾患を早期に発見できるようになり、発症前から適切な治療を行うことができるようになると期待されます。
詳しくは京都大学のプレスリリースをご覧ください。
論文タイトル: A Non-targeted Proteomics Newborn Screening Platform for Inborn Errors of Immunity
著者:Hirofumi Shibata, Daisuke Nakajima, Ryo Konno, Atsushi Hijikata, Motoko Higashiguchi, Hiroshi Nihira, Saeko Shimodera, Takayuki Miyamoto, Masahiko Nishitani-Isa, Eitaro Hiejima, Kazushi Izawa, Junko Takita, Toshio Heike, Ken Okamura, Hidenori Ohnishi, Masataka Ishimura, Satoshi Okada, Motoi Yamashita, Tomohiro Morio, Hirokazu Kanegane, Kohsuke Imai, Yasuko Nakamura, Shigeaki Nonoyama, Toru Uchiyama, Masafumi Onodera, Ryuta Nishikomori, Osamu Ohara, Yusuke Kawashima, Takahiro Yasumi
掲載誌:Journal of Clinical immunology
DOI:10.1007/s10875-024-01821-7