巨大なゲノムをもつ針葉樹4種のゲノム解読に成功
~時間のかかる林木育種の効率化・加速化へ~

2022/11/30

研究開発

かずさDNA研究所と森林総合研究所 林木育種センターは共同で、カラマツ・スギ・ヒノキ・コウヨウザンのゲノムを解読しました。

日本の森林面積は国土の約67%で、世界でも有数の森林国です。スギなどの針葉樹は木材生産などのため、林業用の樹種として広く利用されています。また、気候変動の対策のひとつである二酸化炭素の吸収源としても期待されています。しかし、これらの樹種は世代時間が長いため、品種改良(育種)には膨大な時間を必要とします。そこで、育種に要する期間の短縮を目的として、カラマツ・スギ・ヒノキと、早生樹として注目されているコウヨウザンの4樹種のゲノムを調べました。

最新のDNA配列解析技術を利用して、ヒト(約30億塩基)の3〜4倍、モデル植物であるシロイヌナズナ(約1.3億塩基)の約100倍にあたる85億塩基(ヒノキ)から135億塩基(カラマツ)のDNA配列を高精度に明らかにしました。

これら4樹種のゲノム情報は、育種の効率化・加速化のための遺伝学的な情報の基盤となります。また、ゲノム情報を活用した森林管理やそれぞれの樹種のゲノム編集研究への活用、さらには針葉樹を含む裸子植物から被子植物がどのような進化の途を辿ったのかを知るための手がかりになることが期待されています。

研究成果はBioRxivにおいて、11月17日(木)にオンラインで公開されました。
詳しくはプレスリリース資料をご覧ください。

論文タイトル:Haplotype-resolved de novo genome assemblies of four coniferous tree species
著者:Kenta Shirasawa , Kentaro Mishima, Hideki Hirakawa, Tomonori Hirao, Miyoko Tsubomura, Soichiro Nagano, Taiichi Iki , Sachiko Isobe and Makoto Takahashi
掲載誌:bioRxiv
DOI: 10.1101/2022.11.16.516598

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