ぜんそくの新たな治療法の鍵となる代謝酵素の発見 ~重症アレルギー疾患が収束するメカニズムを解明~

2021/11/9

研究開発

ぜんそくは肺に慢性の炎症がみられるアレルギー疾患です。その治療は吸入ステロイドによる対症療法が一般的で、未だに完治させる治療法がありません。ぜんそく治療法の開発に向けて、当研究所の遠藤裕介室長らのグループは、ぜんそくが収束していく過程に注目しました。ぜんそくが収束するメカニズムを明らかにすることで、適切に収束を誘導できるようになり、ぜんそくの完治につながると期待されます。

ぜんそくで肺に炎症を引き起こすのは、白血球の一種である好酸球(寄生虫感染症から生体を守るのが主な役割)です。好酸球を誘導するのは抗原を記憶しているT細胞で、ハウスダスト、花粉、およびカビなどのアレルゲンを記憶してアレルギーを引き起こすのは、病原性記憶T細胞と呼ばれます。

病原性記憶T細胞は、傷ついた組織から放出されるIL-33というタンパク質で活性化されます。ところが、それとは反対に好酸球を抑制する役割をもつ、制御性T細胞(Treg細胞)もIL-33の刺激で増殖することがわかりました。そのときTreg細胞は脂肪酸を積極的に取り込んでおり、脂質代謝が細胞増殖に関わっていることがわかりました。そこで、肺組織のTreg細胞で特異的に発現している脂質代謝酵素として、Acsbg1を同定しました。

Acsbg1遺伝子を破壊したマウスにぜんそくを誘導すると、肺の炎症が治まらなくなりました。このマウスは肺組織のTreg細胞が減少していましたが、そこに正常なTreg細胞を戻すと肺の炎症が治まりました。以上のことから、肺組織のTreg細胞でAcsbg1を人為的にコントロールすることが、ぜんそくを完治させる治療法につながると期待されます。

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リリース資料(PDF 1.3MB)