最新のDNA解析技術による指定難病遺伝子検査法の開発

2023/10/13

研究開発


 

かずさDNA研究所は、東京医科歯科大学、慶應義塾大学、信州大学、自治医科大学と共同で、最新のDNA解析技術を用いて、
指定難病(21水酸化酵素欠損症)の高精度、低価格、簡便な遺伝子検査法を開発しました。

先天性副腎過形成は、生命の維持に必須なホルモンであるコルチゾルの合成に障害が起こる遺伝性疾患です。
適切な治療を受けないと乳児期早期に死亡することがありますが、我が国では新生児マススクリーニングの対象であるため、
ほぼ100%の患者さんは新生児期に発見され適切な治療を受けています。
この病気にはいくつかの酵素が関わることが知られていますが、そのうち21水酸化酵素の欠損が原因の90%以上を占めます。

この病気の検査法のうちCYP21A2という遺伝子を調べる方法には、少量の血液で明確な結果が得られる利点があります。
しかし、遺伝子の周辺領域の構造が複雑で、解析に手間がかかることから、あまり普及していませんでした。

今回、私たちはロングリードシークエンス法と呼ばれる最新のDNA分析技術をこの検査法に導入し、
さらに検査全体のプロセスを改良することによって、従来よりも簡便かつ低価格で、高い精度の結果が得られる検査方法を
開発することに成功しました。

本研究によって、この病気の検査が、研究レベルではなく診断の目的で、実際の医療機関で実施される道が開かれました。
また、今回開発した検査法が、この病気にとどまらず、他の遺伝性疾患の遺伝子検査の効率化にも利用できるかもしれません。

詳しくは、東京医科歯科大学のリリース資料をご覧ください。

論文タイトル: A MinION-Based Long-Read Sequencing Application with One-Step PCR for the Genetic Diagnosis of 21-Hydroxylase Deficiency.
掲載誌:Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism
doi:https://doi.org/10.1210/clinem/dgad577

 

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