エンドウのさやの色に関する遺伝子領域を特定 〜メンデルが研究した遺伝子に迫る〜
2021/3/18
研究開発かずさDNA研究所は、メンデルが「遺伝の法則」発見に用いた形質のひとつである、エンドウのさやの色に関わる遺伝子領域を特定しました。
メンデルが”遺伝の法則”を発見するのに、エンドウが一役買ったことは有名です。この法則の発見は遺伝学誕生のきっかけとなり、メンデルは”遺伝学の父”として尊敬されています。
今回、メンデルが着目したエンドウの7つの形質(特徴)のうち、これまで遺伝子解析が進んでいなかった”さやの色”を決める遺伝子の候補を特定しました。現在は、この遺伝子の変異により、葉緑素の生成の抑制もしくは分解が起こり、さやが黄色になるという仮説を立てて検証を進めています。
メンデルが用いたエンドウの7つの形質
- ①黄色と緑色の種子
- ②花の色が赤色か白色か
- ③背丈が高いか低いか
- ④丸い種子としわのある種子
- ⑤緑色のさやと黄色のさや
- ⑥さやが膨らんでいるか平たいか
- ⑦花が茎の頂端につくか茎全体につくか
*このうち、①~④は、関係する遺伝子がすでに同定されています。
今後、さらに解析が進めば、エンドウの品種改良の効率化が進むと期待されます。また、メンデルが研究した7つの形質に関わる遺伝子すべてを明らかにしたいと考えています。
詳しくは、リリース資料 をご覧ください。
論文タイトル:Genomic region associated with pod color variation in pea (Pisum sativum).
著者:Kenta Shirasawa, Kazuhiro Sasaki, Hideki Hirakawa, Sachiko Isobe.
掲載誌:G3: Genes, Genomes, Genetics
DOI: 10.1093/g3journal/jkab081