クリの遺伝解析により、クリタマバチ抵抗性遺伝子座を特定しました。

2020/9/8

研究開発

 
クリタマバチは、夏に成虫がクリの休眠芽に産卵し、翌年春にふ化した幼虫が虫こぶをつくります。虫こぶがたくさんできると、新芽が出なくなりクリの生産量が激減してしまいます。今回の研究では、クリタマバチに強い品種と弱い品種のゲノムを比較して、クリタマバチ抵抗性に関わる2つの候補遺伝子座を発見しました。この研究をもとにして、今後、クリタマバチに抵抗性をもつクリ品種の開発を目指していきます。

 

クリタマバチは、幼虫が芽の中にいるために薬剤による防御は難しいのですが、日本ではクリタマバチに抵抗性をもつ品種の開発や樹木の勢いを保つ剪定(せんてい)法の開発、クリタマバチの天敵となる昆虫の導入などによって、被害が抑えられています。

クリタマバチによる被害は、日本では1941年に初めて発生が確認され、その後の1970年代にはアメリカ大陸に広がりました。そして、2002年にイタリア北部で被害が確認され、その後ヨーロッパ中に拡大しています。ヨーロッパで被害が拡大した理由のひとつとして、ヨーロッパグリの品種の多くがクリタマバチに対する抵抗性をもたないことが挙げられます。そこで研究グループでは、抵抗性をもつクリ品種と抵抗性をもたないクリ品種のゲノムを比較して、クリタマバチ抵抗性に関わる2つの候補遺伝子座を発見しました。

 

論文タイトル: Development of high-density genetic linkage maps and identification of loci for chestnut gall wasp resistance in Castanea spp.
著者: Daniela Torello Marinoni, Sogo Nishio, Nadia Valentini, Kenta Shirasawa, Alberto Acquadro, Ezio Portis, Alberto Alma, Aziz Akkak, Vera Pavese, Emile Cavalet-Giorsa, Roberto Botta.
共同研究先: 農研機構、トリノ大学(イタリア)、フォッジャ大学(イタリア)
掲載誌: Plants