DNA実習:令和2年度「かずさの森のDNAキャンプ」@オンライン

令和2年度「かずさの森のDNAキャンプ」 ~高校生を対象としたハイレベル生命科学講座~

 当研究所は、高校生にDNA研究のより深い学習から科学的な思考力・判断力・表現力を養う機会を提供する場として、千葉県内の高校や全国のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)指定校を対象に、宿泊型の「かずさの森のDNAキャンプ」を開催しています。今回は、新型コロナの状況を鑑み、オンラインでの開催といたしました。

日 時 令和2年8月20日(木)10:00-12:00、14:00-16:00
21日(金)10:00-12:00、14:00-16:00
会 場 かずさDNA研究所(Zoomによるオンライン講習会)
参加者 高校生9名(新潟県1名、千葉県1名、東京都2名、神奈川県1名、兵庫県1名、山口県1名、宮崎県2名)
内 容 予定されていた内容は下記の「実習講座の全体像」の通りですが、急遽オンライン講習会となり、生徒の皆さんには、各自に与えられた生活環境から採集した微生物の塩基配列を知らせ、それがどのような微生物であったか、どこから採集されたかを考えてもらいました。

A 講義
・DNA研究とバイオテクノロジー
・微生物の世界と実社会での利用

B 演示・原理説明
・DNA抽出
・PCR、電気泳動
・遺伝子組換え実験
・塩基配列の解析

C 体験
・マイクロピペット操作
・電気泳動(ゲルへのアプライ)
・バイオインフォマティクス(配列解析)
・DNAキーホルダーの作製

D 課題発表会
課題①:DNAから環境を知ろう!(個人発表)
課題②:バイオテクノロジーってなに?(班単位発表)

実習講座の全体像

本実習講座では、1990年代半ばから急激に進んできたゲノム配列解析による「生物情報の加速度的な蓄積」、それをもたらした「DNA塩基配列解析技術の進歩」、また蓄積する膨大な情報データを扱うための「コンピュータ解析技術の急激な発展」を背景に築き上げられた、生命科学の新たな領域である「ゲノム科学」を体験することができます。
初日は、身近にいる微生物を綿棒で採集し(調べたい場所)、ゲノムDNAを抽出します。抽出したゲノムDNAの一部(今回は 16S rRNA遺伝子)をPCR法で増幅させ、配列を調べるために、プラスミドと呼ばれる環状のDNAに組み込みます。出来上がったプラスミドを大腸菌に入れて(大腸菌の形質転換)一晩増殖させます。
二日目は、増殖した大腸菌をいくつか選び、「シークエンサー」と呼ばれるDNA塩基配列解析装置で読み取り配列データを取得します。同時に、生物情報科学(バイオインフォマティクス)による遺伝子の解析法を体験し、最終日に、実際に得られたデータから、どのような種類の微生物がいたのかを配列から明らかにします。

ゲノム科学に関する幅広い実習を体験することにより、現代社会にDNA研究の成果がどのように役立っているのか、また将来どのようなことに利用できるのか、皆さん自身が考えるきっかけになることを期待します。

いざ開講
全体のスケジュール紹介
DNA研究とバイオテクノロジーについての講義
実習の様子はビデオで配信
こちらから送付した実験器具で操作体験
うまくできたかな?
所内見学はオンライン
DNAストラップの作製、みんなうまくできました
修了式もオンライン
ダーナとともに司会進行
「今回、参加してどうでしたか?」生徒さんの回答

    • 参加した目的は、自分の夢が研究者になるということで、その夢に近づいたり、具体的にイメージできるいい機会になると思ったから。マイクロピペットを操作したり実験の動画を見たり、研究者と話をして、その思いが強くなった。
    • 学校の友達以上にいろいろな考えをかわせる友達ができてうれしかった。これから仲間が増えていくんだという希望に満ち溢れた感じがした。先生方がいろいろな質問に答えてくださったのをみて、将来自分が研究者になったときにも、研究に没頭するのも大切だけれども、自分の持っている知識などを自分の中で整理して相手に伝える力が大事だと思った。
    • 分子生物学の実験や研究者がどんな仕事をしているのかに興味があった。生物は教科書で知識としては学んでいたが、実際に実験している様子を見て、より一層、研究者になりたいと思った。
    • 目に見えないところでいろいろなことが行われているという神秘さから、分子生物学に興味を持っている。これからの研究にキャンプで学んだことを役立てていけたらいいなと思う。
    • 少し生物に興味があっただけで参加した。将来は獣医になりたいと思っているので、今回の講義などは面白かった。これからに役立てていけたらいいなと思う。
    • 医学系に携わりたい、生物が好き、ということで参加した。自分の周りには、研究の話とか自分の興味のあることを話せる人がいないので、全国でそういう方に巡り合えたのは貴重な体験だった。
    • みんながいろいろな質問や話をしているのを聞いて、レベルの高い人たちは見る視点が違うことに驚かされた。これからもっと見る視点を変えてみてみようと思う。
    • ウイルスとか細菌に興味があって、それについて学べてよかった。好きなことについて学ぶのはいいことだと思った。
    • PCR法に興味があって参加した。BLASTの配列解析が面白かった。今年は研究発表会などもなくて意欲のある人と会う機会がなく残念に思っていたので、参加できてよかった。
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