観賞用トマトの形質にかかわる4つの遺伝子座を同定しました

2020/4/13

研究開発

かずさDNA研究所は、イランにあるギラン大学と共同で、観賞用トマトの形質にかかわる4つの遺伝子座を同定し、育種に利用できるDNAマーカーを開発しました。

トマトは食用としてだけではなく観賞用としても品種開発がなされています。観賞用トマトにもゲノムを用いた育種法を導入するために、今回、ギラン大学の観賞用トマト系統を材料として、ddRAD-Seq解析法により、多数のSNP(一塩基多型)を探索しました。そしてそれらを用いてゲノムワイド関連解析(GWAS)を行ない、観賞用に適した形質(草丈が高い/短い、果実の色が赤/黄、果実の形が丸型/洋ナシ形)にかかわる4つの遺伝子座を同定しました。
*ddRAD-Seq解析法: 2種類の制限酵素でゲノムを切断し、両端が別々の制限酵素で切断された断片のみを次世代シーケンサーで解析するもので、ゲノムの0.1~1%を株や品種が違っても、ゲノム上の同じ領域を再現性良く読むことができ、塩基配列の違いを容易に比較することができる。
*制限酵素:特定のDNA配列を認識して特定の位置でDNAを切断する酵素。
*一塩基多型(SNP):集団のゲノム配列中でみられる一塩基の違いのことで、SNPはSingle Nucleotide Polymorphismの略。
*ゲノムワイド関連解析(GWAS):遺伝子多型を用いて表現型と関連する遺伝子を見つける方法のひとつで、表現型とSNPのアリル間で相関があるかどうかを統計的に調べる方法。

次に、上記の各形質に連鎖する4種類の選抜マーカーを開発して、観賞用に適した個体を選抜できるようにしました。そして、これらの選抜マーカーを用いて、187の植物個体を対象にKASP™ジェノタイピングアッセイを行ったところ、すべてのアリルを潜性ホモで持つ個体、すなわち、草丈が低く、果実が黄色で洋ナシ形だと予想されるトマトを2個体だけ選抜することができました(理論上、4つの遺伝子座がすべて潜性ホモになる確率は、わずか256分の1です)。この2個体は新しい観賞用トマト品種としての利用が期待されます。
*KASP™ジェノタイピングアッセイ:FRET(蛍光共鳴エネルギー移動)を利用して、対立遺伝子の既知のSNPとInDel (挿入 / 欠失) をPCR法により高い確度で迅速に識別することができる。

この技術により、さまざまな観賞用トマトの育種が進むことが期待されます。

論文は4月11日にThe Plant Genomeにてオンライン公開されました。
この論文の第一著者のメイサムさんは、2018年11月から9ヶ月間かずさDNA研究所に滞在して研究を行いました(ニュースレター66号にてインタビューを掲載しています)。

論文のタイトル: Four genetic loci control compact plant size with yellow pear-shaped fruit in ornamental tomato (Solanum lycopersicum).
Journal: The Plant Genome
DOI:10.1002/tpg2.20017
URL:https://acsess.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/tpg2.20017