より安価により効率よく希少変異を検出するヒト遺伝子シークエンス方法を開発しました

2019/9/19

研究開発

 かずさDNA研究所では、遺伝子の変異が原因で起こる病気の原因となる遺伝子の解析を行っています。ヒトのゲノムは、タンパク質に翻訳される領域(エクソン領域、と呼びます)とそれ以外の部分に分けることができ、遺伝病やがんの多くはエクソン領域のDNA配列に変異が入ることで起こります。そのため、ヒト全ゲノム領域の1~2%にあたるエクソン領域だけをシークエンスすることによって、安価に効率よく病気の原因である変異遺伝子を検出する、エクソームシークエンス法が開発されています。

 従来法では、エクソン領域だけを集めてくる工程において、サンプルのDNA量が1/1000程度まで減ってしまうために、濃縮後のDNAをPCR法により増幅していました。PCR法では、DNAを複製する過程で一定の確率で変異が生じてしまうので、特に新規のがん原因遺伝子を検出する場合、見出した変異が、がんによる変異なのか、PCRによって生じた偽の変異なのかを区別することが困難でした。もちろん、この問題を解決する方法もありますが、シークエンス量が数倍になるために非常にコストがかかります。

 研究グループでは今回、少量(2マイクログラム: マイクログラムはミリグラムの1000分の1の量)のDNAから、PCR法での増幅を行わずにエクソームシークエンスを行う方法を開発しました。新しい方法は、既存の方法にエタノール沈殿でのDNAの濃縮工程を加えただけの非常に簡便なものですが、より安価に効率よく希少変異を見つけることが可能になりました。

論文の題名:PCR-free whole exome sequencing: Cost effective and efficient in detecting rare mutations.
著者:Yamaguchi I, Watanabe T, Ohara O, Hasegawa Y.
雑誌名:PLOS ONE
doi: 10.1371/journal.pone.0222562