テーマ 38個体発生は細胞増殖と細胞死の調和で進行します

リー・ハートウェル ボブ・ホロヴィッツ マイク・ヘンガートナー スコット・レーベ リー・ハートウェルは、酵母をモデル系として使い始めたひとりで、細胞周期に関わる多くの遺伝子を同定しました。ボブ・ホロヴィッツマイク・ヘンガートナーC. elegans を使って、プログラム細胞死の機構を解明しました。スコット・レーベの研究は、細胞周期の制御がどのようにがんに関わっているのかを明らかにしました。

ハワード・ロバート・ホロヴィッツ(1947-)


ボブ・ホロヴィッツ

 ボブ・ホロヴィッツは、イリノイ州シカゴで生まれました。母は教師で父は会計士でした。両親は、ホロヴィッツに対してとても教育熱心でした。子供時代、ホロヴィッツは蝶の収集をし、生物学は、死んだものを集めて分類することだと思っていました。彼は優等生で、英語や報道などといった多くの教科に興味を持っていました。彼は、マサチューセッツ工科大学から2つの学士号を取得しています。ひとつは数学で、もうひとつは経済学です。彼は法律に進むか、医学に進むか、経済に進むか、コンピューターサイエンスに進むか、いろいろ考えました。しかし彼は、分子生物学について何も知らなくて、興味をそそられたので(もっともホロヴィッツは大学最終学年になるまで、生物学の講義を受けたことはありませんでしたが)、生物学を学ぶためハーバード大学の大学院に進みました。

 ホロヴィッツは、神経生物学に興味がありましたが、生物学一般に対して経験が乏しかったので、基礎を学ぶために、ファージの研究を始めました。ホロヴィッツはジェームズ・ワトソンとウォルター・ギルバートの研究室の大学院生でしたが、そこで彼は、“おもしろい”ということを知りました。1974年にホロヴィッツは、シドニー・ブレナーのところで研究するために、ケンブリッジの MRC[医学研究局]に行きました。

 ブレナーは、個体発生を研究するための新しいモデル系の提唱者でした。Caenorhabitis elegans は遺伝解析が可能で、飼育が簡単な非寄生性の線虫です。ホロヴィッツは C. elegans の利点を理解し、神経発生、ras経路、細胞系譜の遺伝学など、多くの個体発生システムの研究に用いました。プログラム細胞死は、彼の研究室で進められるプロジェクトのひとつにすぎません。

 1978年、ホロヴィッツは、マサチューセッツ工科大学の生物学科に職を得ました。現在彼は、ホワイトヘッド研究所の生物学教授です。彼は、1988年からハワード・ヒューズ医学研究所研究員を務め、1999年のガードナー国際賞をはじめ、業績に対し多くの受賞があります。ホロヴィッツは1991年から米国科学アカデミーの会員で、政府関係、民間を問わず、多くの論文雑誌の編集委員や有識者会議委員を務めています。彼は、研究室の業績に基づく特許を多く申請しています。

 ホロヴィッツは、時間の合間に読書、特にイギリスの現代小説、を楽しみます。

 ホロヴィッツは2002年のノーベル生理学・医学賞 を、共同研究者のジョン・サルストン、シドニー・ブレナーと分かち合いました。3人共、モデル生物 Caenorhabditis elegans を使った発生学の分野で、主要な貢献をした人達です。

factoid Did you know ?

C. elegans でプログラム細胞死を起こさなかった細胞は、その姉妹細胞と同じ運命を辿ります。余分な細胞が、害をなすようには思えませんが。

Hmmm...

ブログラム細胞死を起こさない C. elegans 変異株にできる“余分な”細胞は、神経細胞のことが多いのです。そんな線虫は、賢いのかな?