テーマ 34遺伝子は種間を移動します

遺伝子の発現をタグづけするために、緑色蛍光タンパク質 [GFP] を使ってみましょう。

やあ! 緑色蛍光タンパク質(GFP)は、オワンクラゲが光るためのタンパク質です。タンパク質は単一の遺伝子によってコードされています。

GFP遺伝子は、他の生物の遺伝子のプロモーターの下流に挿入することができます。RNA合成酵素は転写を開始するプロモーター領域に結合します。
もし、GFP遺伝子が正しく挿入されていたら、クラゲ以外の生物でもGFPを発現することができます。

[可視光] [紫外線]
GFP遺伝子は、他の遺伝子の発現を見る視覚的なタグとして使用することができます。今、ラクトースを分解するβガラクトシダーゼ(β-gal)を作る、β-gal遺伝子の発現を見たいとします。

そのために、β-galをGFP遺伝子と融合します。

この実験では、プラスミドXを使用します。プラスミドは8kbの大きさで、β-gal遺伝子とアンピシリン耐性遺伝子(ampr)を持っています。

このプラスミドのどこにGFP遺伝子を挿入するといいですか?
[複製開始点]
[β-galプロモーター]
[β-gal遺伝子]
・A いいえ、ここは、β-gal遺伝子の終わりから離れています。
・B いいえ、ここへのGFP遺伝子の挿入は、アンピシリン耐性遺伝子を破壊します。
・C いいえ、ここは、β-galプロモーターの前(上流)です。
・D 正解です。

Dは、プロモーターと遺伝子の間にあります。ここに挿入されたDNAは転写されて、βガラクトシダーゼ酵素との融合タンパク質として翻訳されるでしょう。
転写はβ-galプロモーターから始まり、β-gal遺伝子の末端まで続きます。もしGFP遺伝子が正しく挿入されていれば、停止コドンが無いので、GFP-β-gal融合タンパク質がmRNAから作られるでしょう。
[RNA合成酵素]
遺伝暗号は3コドンとして読み取られることを思い出して下さい。挿入断片のDNAが3コドンの最初の位置から始まると仮定すると、このプラスミドDNAではDNAを挿入するのに最適な場所はどこですか?
[プロモーター]
[遺伝子]
・1 正解です。
・2 いいえ、ここだと、以降のアミノ酸の読み枠がずれます。
・3 いいえ、ここだと、以降のアミノ酸の読み枠がずれます。

もし、DNAを他の位置に挿入すると、読み枠がずれて、機能するタンパク質は作られないでしょう。
[アミノ酸]


約1kbのDNA断片として、GFP遺伝子を分離精製します。それはEcoRIの”粘着”末端を持っています。それからEcoRIで切断したpXプラスミドと混ぜ合わせます。一緒に断片をつなげるDNAリガーゼを加えます。
[EcoRIで切断したpX]
[GFP遺伝子]
[DNAリガーゼ]

それから、混合物を細菌に形質転換します。
形質転換されたプラスミドを持つ細菌を見つけるためにアンピシリンを含む培地で細菌を培養します。

紫外線ライトを当てると、いくつかの細菌は光りましたが、いくつかは光りませんでした。
プラスミドを回収し、EcoRIで切断します。ゲル電気泳動でプラスミドの大きさを確認します。GFP遺伝子は約1 kbで、pXプラスミドは8 kbであることを思い出して下さい。なぜレーン4は光らなかったのでしょう?
[光ったプラスミド]
[光らなかったプラスミド]
・GFP遺伝子が逆向き。 正解です。
・プラスミドが再度環状になった。 いいえ、プラスミドの大きさはpXとGFPを併せた大きさです。
・プロモーター領域が破壊された。 いいえ、プロモーターは大丈夫です。
・上記のどれでもない。 いいえ、正しい答えはあります。

ゲル上の断片のサイズはpXとGFPの両方があることを示しています。GFPが機能していないので、GFPが逆向きに挿入されている可能性があります。

遺伝子とプラスミドの両方を切断するのに1種類の制限酵素を使うと、3つのことが起こる可能性があります。
プラスミドは再環状化する。
[再環状化]
プラスミドは新しい遺伝子を受け入れる。
[挿入]
もしくは遺伝子が逆向きに挿入されます。
[逆挿入]
制限酵素によってつくられた粘着末端は、順向きでも逆向きでも同じ、回文です。


組換えDNA技術でつくられたプラスミドは、ポリリンカー領域と呼ばれる多くの制限酵素の認識部位を含む領域を持っています。これは、研究者が挿入したい遺伝子に合った多くの異なる切断オプションを可能にします。
[ポリリンカー]
もし遺伝子が逆向きに挿入される問題を避けたいなら、使用するのに最適な制限酵素はどれでしょう?
・EcoRI いいえ、1種類の酵素では、GFP遺伝子が純向きにも逆向きにも挿入されます。
・PvuIとSalI 正解です。
・BamHIとHindIII いいえ、これらの酵素を使うと、GFP遺伝子は逆向きに挿入されます。
・PvuIとXbaI いいえ、GFP遺伝子の周りに2ヶ所のXbaIサイトができます。

pXプラスミドとGFP遺伝子を持つDNAは、どちらもPvuIとSalIの制限酵素で切断する必要があります。酵素によってつくられた相補的末端はGFP遺伝子のみを純向きに挿入することができます。