チョウの翅の模様を変える(NL61)

世界中には 2 万種を超えるチョウが生息し、それぞれは体の形や翅(はね)の模様で分類されています。枯葉に似せたり、目玉模様や毒をもつ別の種に似せたりなどの不思議な模様が、どの遺伝子によって生じるのか、米国のグループは関与が示唆されている遺伝子をゲノム編集の技術を使って調べました。

ひとつは昆虫だけでなくヒトでも形態形成に関わることが知られている WntA 遺伝子です。7 種類のチョウで WntA 遺伝子の発現を翅の一部の細胞で働かなくしたところ、翅が色あせしたり、縞模様がぼけたり、目玉模様が消えたりしました。例えば、オオカバマダラでは、翅のふちの濃い黒の部分が不鮮明になり、翅の大部分が黒いドクチョウは、翅の色が白く抜けました。このことから、WntA は色の境界を設定し、境界線を引くことに働くと考えられています。

もうひとつは、赤やオレンジ色の模様に関わる optix 遺伝子で、4 種類のチョウで遺伝子を壊したところ、翅や胴体が全体的に黒や灰色になりました。また、アメリカタテハモドキに青く輝く構造色の斑点ができたことから、 optix 遺伝子は、翅や胴体に色素を沈着させるだけでなく、体表の凹凸などの微細構造を変化させる働きを持つ可能性が示唆されています。

研究が進めば、チョウの翅の模様を作り出すしくみが明らかになると期待されています。