完璧な人間はいない?(NL57)

ゲノム DNA 配列は、タンパク質に翻訳される部分(エクソン)とそれ以外の部分に分けることができます。エクソン部分の DNA 配列が変化することによって、病気になったりすることがあります。希少疾患などでは病気の原因となる遺伝子を明らかにするために、ゲノムにあるエクソンの部分だけを全て(エクソーム)解析する研究が行われています。

エクソーム集約コンソーシアム(ExAC)では、標準的なエクソームを明らかにしようと、2014 年 10 月までに公開されたヨーロッパ人を主とする、東アジア、南アジア、アフリカ、ラテンアメリカ人を含む 60,706 人分のデータを集めて解析し、公開しました。

全体では 740 万の一塩基多型と DNA 配列の挿入と欠失の変異がみつかり、うち半数以上は、解析した中でひとりしかその変異を持っていませんでした。また、変異により作られるタンパク質が不完全になる場合があるのですが、そのような変異で両親からもらった遺伝子の両方が壊れている場合がひとり当たり平均して 35 ヶ所、片方が壊れている場合が平均して85ヶ所あることもわかりました。

つまり私たちの多くは、約 2 万個ある遺伝子の幾つかが壊れている変異体なのです。それでも普通に生きているのは、私たちの体が想像している以上に複雑だからかもしれません。

Analysis of protein-coding genetic variation in 60,706 humans.
Lek M. et al.
Nature (2016)
doi: 10.1038/nature19057

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