味覚を感じる神経の再配線(NL61)

動物は舌にある味蕾(みらい)という器官で味を感じ取り、神経細胞を経て、脳で「甘い」「苦い」と知覚します。ひとつの味蕾の中には 50-100 個の味を感知する味(み)細胞があり、酸味、塩味、苦味、旨味、甘味のそれぞれに対応しています。それぞれの味細胞はその味に特化した神経細胞を介して、味細胞が感知した情報を脳に送り、脳はそれらの情報をもとに味を判断するのです。

味細胞は寿命が短く、5-20 日の間に新しい細胞に入れ替わりますが、神経細胞は入れ替わりません。もし、新しくできた味細胞が正しい神経細胞に接続できなければ、脳は味を間違って判断することになります。

米国の研究グループは、正しい結合が行われるしくみを理解するためにそれぞれの味細胞で発現している遺伝子を調べ、神経細胞を伸ばす方向を知らせる SEMA3A が苦味を感じる味細胞で多く発現しており、実際に神経細胞の誘導に関わっていることを確認しました。

さらに同様の実験を行い、同じく SEMA7A が甘味の神経細胞の誘導に関わることを見つけました。そして、遺伝子操作により配線を換えて、甘味に対して苦いと、苦味に対して甘いと、酸味に対して甘いと脳が判断する変異マウスを作り出すことができました。

皮膚細胞などでも同様なしくみで感覚神経細胞との接続が行われていると考えられ、この知見は皮膚の再生医療にも応用されることでしょう。