メスのX染色体は2本必要?(NL61)

ヒトを含む哺乳類は、メスが性染色体として X 染色体を 2 本持つのに対し、オスはX染色体とY染色体をそれぞれ1本ずつ持ちます。そのためメスの細胞はX染色体にある遺伝子をオスの2倍持つことになりますが、メスの2本あるX染色体のうちの1本を働かなくして遺伝情報の量を調節する、「X染色体不活性化」というしくみを進化の過程で獲得しました。

研究グループは、X染色体不活性化に至るメカニズムを明らかにしていくなかで、染色体の遺伝子領域を凝縮させて遺伝子を働かなくする機能をもつ複数のポリコーム複合体タンパク質に着目しました。一連の実験から、Xist RNAと呼ばれるRNA分子が、ポリコーム複合体を形成するタンパク質のうち、Pcgf3とPcgf5というタンパク質をX染色体に呼び込むことにより、他のポリコーム複合体タンパク質が集合して染色体の凝縮が始まり、最終的に染色体が不活性化されることが示されました。

Pcgf3とPcgf5がX染色体不活性化の過程で重要な役割をしていることは、両方の遺伝子を欠いたメスのマウスが、母親の胎内で成長する途中でX染色体の不活性化が起こらずに死んでしまうことからも裏付けられています。

この成果は、X染色体不活性化という生命現象の全容解明につながると期待されています。

かずさDNA研究所と英国オックスフォード大学、理化学研究所との共同研究