テーマ 40生き物には共通の遺伝子もあります

生き物には共通の遺伝子もあります。

 全ての生物は、DNAとRNAという共通の分子を利用して、遺伝情報を保存しています。これらの分子が作る遺伝暗号の中には、全ての生物に共通した先祖がいるという確かな証拠が書き残されています。生物がより高度に進化するためには、様々な体の部位を形成したり異なった栄養源を利用したりするために新しい遺伝子を作り出さなければなりません。それでも、太古から引き継いだ中核となる代謝機能を制御する多くの遺伝子は、複雑に進化した生物でも維持されているのです。

 遺伝子は、生物の進化の中で受け継がれていきます。しかし時には、他の生物と交換されたり、他の生物から“盗まれたり”することもあります。細菌は接合によって抗生物質に対する耐性遺伝子を持つプラスミドを交換することができます。ウイルスは自分の遺伝子を宿主細胞に挿入することができます。哺乳類の遺伝子の中には、ウイルスから受け渡されたものもあり、後にそれが他の哺乳類へ移行したりもします。生物がどのように遺伝子を獲得したり保持したりするかに関わらずタンパク質の正常な機能に必須な領域は常に保存されています。変異が蓄積しやすいのは機能に必須でない領域です。ひとつの遺伝子に起こったこのような変異はその遺伝子が歩んできた進化の歴史そのものなのです。