テーマ 37マスター遺伝子は基本的な体づくりを制御します

エリック・ヴィーシャウス Christiane Nüsslein-Volhardクリスティアーネ・ニュスライン-フォルハルト エド・ルイス エリック・ヴィーシャウスクリスティアーネ・ニュスライン-フォルハルトは、ショウジョウバエの初期胚発生に必要な遺伝子の多くを単離し、明らかにしました。エド・ルイスは、最初のホメオティック変異のひとつを明らかにしました。

クリスティアーネ・ニュスライン-フォルハルト(1942-)


クリスティアーネ・ニュスライン-フォルハルト

 クリスティアーネ(ジャニー)・ニュスライン-フォルハルトは、第二次世界大戦中にドイツのフランクフルトで生まれました。彼女の父は、建築家でしたが、両親は共に芸術的で、絵を描いたり、音楽をしたりしました。芸術は楽しく、ニュスライン-フォルハルトはフルートを習いましたが、植物や動物に、より強い興味を持ちました。12歳の時に、ニュスライン-フォルハルトは生物学者になりたいと思いました。

 ニュスライン-フォルハルトは、通っていた高校の教師に、才能はあるが怠け者の学生であると思われていました。彼女は、興味を持った科目だけを一生懸命勉強したからです。高校時代の最後に、ニュスライン-フォルハルトは、医療に関する仕事に興味がないことを確認するためだけに、看護師として一か月間働きました。彼女は[医療に関する仕事に興味がなかったので]、生物学を学ぶためにフランクフルト大学に入学しました。

 ニュスライン-フォルハルトは、生物学のコースは退屈だと気がつくと同時に、チュービンゲン大学が、当時のドイツでは初めて、生物化学の教科課程を提供していることを見つけて、直ちに、そこに移ることに決めました。彼女は、1969年に学位を得て、ファージのプロモーター領域を決定する、大学院の研究を行いました。1974年に博士号を取得した時、彼女は新たな挑戦をしたくなり、発生に関する課題を研究するために遺伝学が利用できるかどうかを、検討し始めました。彼女はいくつかのショウジョウバエの変異体についての評論を読んで、bicaudal[双尾奇形]遺伝子の変異に、興味を持つようになりました。1973年のフライブルクでの会議で、ニュスライン-フォルハルトはウォルター・ゲーリングに接触し、彼の研究室で、bicaudal 遺伝子に関する博士研究員の研究ができるかどうかを尋ねました。ゲーリングは承諾し、彼女は1975年にバーゼルに移りました。

 ニュスライン-フォルハルトは、ショウジョウバエの魅力に気がつきました。彼女は変異の選別法を学び、変異の解析手法を開発しました。彼女は、ゲーリングの研究室で、博士課程をちょうど修了したエリック・ヴィーシャウスに出会いました。ゲーリングの研究室で2年過ごした後、ニュスライン-フォルハルトは、昆虫発生学者であるクラウス・サンダーと研究するためにフライブルグに戻り、昆虫の卵の中で、濃度勾配を示すものを初めて記述しました。サンダーの実験は、特に、研究していた bicaudaldorsal に似たショウジョウバエの変異体のいくつかに関するニュスライン-フォルハルトの考えに影響を与えました。

 1978年、ニュスライン-フォルハルトは、ハイデルベルクに新設されたEMBL[欧州分子生物学研究所] での仕事を受け入れました。エリック・ヴィーシャウスも、同時に雇われました。 二人は一緒にショウジョウバエの胚の変異の解析を開始し、新しい変異を単離するための選別法を開発しました。 3年の間に、ニュスライン-フォルハルトとヴィーシャウスの研究室は、十分な量の変異体を何とか単離し、ショウジョウバエの胚発生で起こる、主な出来事を明らかにしました。彼らは、その結果を画期的な論文として、1980年にNature 誌に発表しました。ニュスライン-フォルハルトとヴィーシャウスはエド・ルイスと共に、ショウジョウバエの発生に関する彼らの業績により、1995年のノーベル[生理学・医学]賞を授与されました。

 1981年、ニュスライン-フォルハルトは、後輩研究者のいるチュービンゲンのフリードリッヒ・ミーシャーの研究室 に移りました。彼女は、ショウジョウバエに関する研究を続け、発生に影響する新しい母性変異の選別と単離を行いました。彼女の研究室は更に、変異の分子生物学的な側面の研究を始めました。 1985年に、ニュスライン-フォルハルトは、チュービンゲンのマックス・プランク研究所 発生学部門(発生生物学)のディレクターに任命され、今もその地位にいます。

 ニュスライン-フォルハルトの研究室では最近、ショウジョウバエに加えて、ニュスライン-フォルハルトが1980年代半ばに開発した、脊椎動物の発生を研究するためのモデル生物である、ゼブラフィッシュ[魚の一種]も使用しています。

 ニュスライン-フォルハルトは、優れた料理人と言われていて、時々、研究室の仲間のために、食事を持ってきます。彼女はまた、ガーデニングや音楽を聴くことを好みます。

factoid Did you know ?

エド・ルイスは、10年以上、bithoraxタンパク質複合体を研究していました。そのため、ルイスの論文が公表される前に、ショウジョウバエの分野の研究者のほとんどは、様々な会議からその結果を知っていました。

Hmmm...

ある生物を“[その生物の形に」 構築”するために、どれだけの遺伝子が関わっていると思いますか?