テーマ 37マスター遺伝子は基本的な体づくりを制御します

Eric Wieschaus Christiane Nüsslein-Volhard Ed Lewis エリック・ヴィーシャウスクリスティアーネ・ニュスライン-フォルハルトは、ショウジョウバエの初期胚発生に必要な遺伝子の多くを単離し、明らかにしました。エド・ルイスは、最初のホメオティック変異のひとつを明らかにしました。

エリック・フランシス・ヴィーシャウス(1947-)


エリック・ヴィーシャウス

 エリック・ヴィーシャウスは、1947年にインディアナ州のサウスベンドで生まれました。彼の家族は、彼が6歳の時に、アラバマ州のバーミンガムに移りました。彼は、科学に対して特別な興味を全く持つことなく、育ちました。彼は、自由な時間には、絵の具で絵を描き、スケッチをして過ごしました。彼は、将来、芸術家になりたかったのです。

 全米科学財団の資金援助による夏季講習に参加したときに、全てが変わりました。この講習は、優秀な10代の子供を集めて、理系の研究室で実習を経験させて、理系分野の専門家になることを奨励するものです。ヴィーシャウスは、仲間たちとの交流を楽しみ、そして、神経生物学の研究室で働く機会を得ました。彼は、彼が研究室でしたことが多くのデータを生み出したことを信じませんでしたが、“科学的な”プロセスや、彼に大学で科学を学ぶこと決めさせることになった、他の科学“オタク”たちとの交流に大変興味を持ちました。

 ヴィーシャウスは、ノートルダム大学に行き、生物学を専攻しました。お金を稼ぐために、彼は、ハーヴェイ・ベンダーのショウジョウバエ研究室で、ハエのエサを作る仕事を得ました。ここで彼は、ショウジョウバエについての基本を学ぶに留まらず、胚発生に強い興味を持ちました。そして、こんな感じに質問しました。「胚発生において、胚の細胞たちが、どのようにして自身が何をすべきかを知るのか?」「何が、分化と発生を操っているのか?」

 ヴィーシャウスが大学を卒業した時に、ベトナム戦争が始まったので、彼は、答えを出す機会はないだろうと考えていました。彼は、良心的兵役拒否者の申請を行い、徴兵されるかどうかを待つ間に、イェール大学の大学院に進学することを決めました。ハーヴェイ・ベンダーは間に入り、ヴィーシャウスの代わりに、イェール大学のショウジョウバエの遺伝学者であったドナルド・ポールソンに、手紙を書きました。ポールソンは、面接無しに、彼を大学院生として採用しました。

 ポールソンの研究室にとっても、それは非常にラッキーな出来事でした。なぜなら、ポールソンは、ショウジョウバエの胚発生について、すでに多くの研究をしていたからです。ポールソンは退職間近だったので、ポールソンから、できる限り多くの事を学ぶために、ヴィーシャウスが時間を無駄にすることはできませんでした。約一年後、ポールソンはヴィーシャウスを、イェール大学でちょうどハエの研究室を立ち上げた、ウォルター・ゲーリングのところに送り出しました。ポールソンは退職することができ、ヴィーシャウスは、新しい研究室の唯一の大学院生であるという、羨まれる立場であることに気がつきました。彼とゲーリングは親密に研究を行い、1974年に博士号を取得しました。この頃には、ヴィーシャウスは、ゲーリングの研究室が移ったスイスのバーゼルにおり、次に、スイスのチューリッヒに移って、博士研究員の研究を行う計画を立てていました。彼が去る前、クリスティアーネ・ニュスライン-フォルハルトがバーゼルに来て、彼らは、今後の実験について相談し始めていました。

 1978年、ヴィーシャウスは、ハイデルベルクに新しく設立されたEMBL[欧州分子生物学研究所] での仕事に誘われました。 クリスティアーネ・ニュスライン-フォルハルトも、すでにそこでの仕事に誘われており、二人がかつてバーゼルで話し合った、共同研究ができることになりました。彼らは、ショウジョウバエの発生変異体を見つけるために、大規模な突然変異誘発実験を行いました。その結果、ショウジョウバエの初期発生機構が、初めて明らかになりました。 ヴィーシャウスとニュスライン-フォルハルトは、エド・ルイスと共に、1995年のノーベル賞を受賞しました。

 1981年、ヴィーシャウスはプリンストン大学に地位を得て、現在もそこにいます。彼の研究は、発生に集中し続けていて、特に様々な発生段階の細胞の形状の変化に注目しています

 ヴィーシャウスは、芸術に向けた若い頃の情熱は、科学者として、事物を“見る”ための能力を高めたと、信じています。彼は今でも絵を描き、研究室で得られたデータの画像編集や発表に、力を入れています。ヴィーシャウスは家族のために、全ての食事の準備をし、通勤、いつも自転車で仕事場に行く、の間に、栄養価の高い実用的な食事を考えています。

factoid Did you know ?

エド・ルイスは、10年以上、bithoraxタンパク質複合体を研究していました。そのため、ルイスの論文が公表される前に、ショウジョウバエの分野の研究者のほとんどは、様々な会議からその結果を知っていました。

Hmmm...

ある生物を“[その生物の形に]構築”するために、どれだけの遺伝子が関わっていると思いますか?