1公益財団法人かずさDNA研究所理事長大石 道夫かずさDNA研究所開所30周年を迎えて かずさDNA研究所は、千葉県が上総(かずさ)地域に創設したかずさアカデミアパークの中核施設として1994年に開所しました。当時DNAは世界的に多くの大学や研究機関で数多い生命現象の謎を解く物質として、研究対象として活発に研究が行われておりましたが、名称はもちろん、DNAの研究をその中核に添えている研究機関は、当時日本はもちろん、世界でもほとんど例がありませんでした。また、研究所の運営を国ではなく、県が支援するという我が国でもユニークな研究所としてスタートしました。このような当研究所の設立に携わった沼田知事、高浪初代所長など関係者の方々の卓見と熱意のお陰で、かずさDNA研究所は、開所以降、極めて短期間で「植物」や「ヒト」のDNA研究において多くの世界的研究成果をあげ、我が国は勿論、世界的なDNAの研究機関として高い評価を得るに至りました。その後もDNAに関する基礎、応用研究の分野で世界的な研究成果をあげ続けております。 かずさDNA研究所は本年度で開所以来30年が経ちましたが、このような長期にわたって我々を支援していただきました関係各位、特に千葉県と県民の皆様に改めて感謝申し上げます。 我々は、これからも、今まで得られた、生命の設計図、DNAの持つ膨大な遺伝情報と関連技術を、基本的生命現象の解明の研究のみならず、植物の品種改良や医薬品開発のような応用研究にも提供し、今人類が直面している、健康、食料、環境といった課題を解決することへ貢献し、それを通じて、千葉県への産業の誘致など、その発展に寄与していくことを目指していくつもりです。 また、我々がもつ高度なDNA解析情報及び技術を活用する応用面でも、農業用植物の品種改良、種子の品質検査、ヒト難病の遺伝子検査などの公益性が高い事業を展開しています。さらに、千葉県がんセンターと共同で、がんの遺伝子診断の実用化へ向けてプロジェクトを開始いたしました。また、将来を担う中学生、高校生を対象とするDNAに関する実験や講義などの教育支援活動にも力を注いでいます。 我々は、今後とも、日本のバイオサイエンス・バイオテクノロジーをリードするユニークな公的研究機関としての役割を自覚し、今後も最新の科学動向や社会ニーズを見据えたさまざまな活動を、独自な立場から活発に展開していきたいと考えております。皆様方には、これまでに引き続き、温かいご支援、ご協力を、今後も心からお願い申し上げます。理事長挨拶
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