46DNA解析技術を植物の研究や育種に役立てる かずさDNA研究所では、これまでに数多くの実用植物のゲノム解読を実施してきました。そして、これらの基礎研究の成果を社会に還元することは公益法人としての重要なミッションであることから、千葉県農林総合研究センターをはじめとして、大学や農研機構等の研究機関、民間種苗メーカーとの共同研究を多数実施してきました。その一方で、権利関係を気にすることなく、さまざまなDNA関連分析を有償で委託するサービス業務の要望も多数あることがわかってきました。 そこで、当時の植物ゲノム研究部を構成する植物遺伝子研究室、植物分子育種研究室、植物ゲノム情報研究室のメンバーが協力して受託サービスを行うバーチャルな「DNA解析センター」を2007年に開設しました。 センター開設当時は、品種識別やDNAマーカーの開発など年間10件程度の分析依頼でしたが、取り扱う植物種や依頼メニューの種類を徐々に拡大し、現在では、ゲノム情報の解析やDNAマーカーの開発・育種選抜集団のDNAタイピング・品種識別・ゲノム育種コンサルティング・データベースの構築や維持など多岐にわたり、受託規模も10倍以上に増加しました。中でも、F1種子の純度検定の需要は高く、スイカ・メロン・カボチャ・キュウリなどのウリ科植物、トマト・ナス・ピーマン・トウガラシなどナス科植物、キャベツ・ダイコンなどのアブラナ科植物、イチゴなどのバラ科植物など幅広い植物種を取り扱っています。 併せて当センターでは、自社でDNA分析の設備やノウハウを持たない中小種苗メーカーが、育種や検査に最新のDNA関連技術を活用できるよう幅広いサポートを展開しています。また、大手種苗メーカーには、最新の技術情報の提供やコンサルティングのサービスを提供するなど、我が国の種苗産業に大きく貢献しています。(磯部 祥子)DNA解析センター
元のページ ../index.html#53